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宇宙戦艦ヤマト前史

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宇宙戦艦ヤマト登場前の地球防衛軍の苦闘を描きます。

<   2016年 01月 ( 4 )   > この月の画像一覧

ガミラス第七空間機甲師団を率いて小マゼラン雲の入り口に設定された "殲滅回廊" の出口を固めていた
デーリアン少将は自分の兵力に絶対の自信を持っていたが、彼はかつてドメル司令の元で戦った経験があり、
その時、一番の怖いのは敵そのものでは無く、敵を侮る "慢心" だと言う事を徹底的に叩き込まれていた。
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だから彼は普通は敵が越えられないと考えられる多数の縮退星で構成される幾つかの星団の周りにも小規模の艦隊を
張り付けていた。

小規模の艦隊と言っても彼がガトランティスを侮っていた訳では無く、首尾すべき個所が多く一か所に廻せる艦の数が
二十隻前後と少なくなってしまったのだった。

これは地球の艦隊運用では充分、大艦隊なのだがガミラスやガトランティスの様な星間国家の運用方法では小艦隊に
過ぎないのだ。

<第三監視艦隊からの連絡が途絶えて一時間か・・・。 まさか侵入艦隊がイオン嵐の宙域を通過出来たとは
思えないが・・・。>デーリアン少将は監視艦隊が全滅した事など思いも依らなかったので再度通信を試みた。

しかし、応えが有ろうはずも無く、クリピテラ級航宙駆逐艦二隻からなる一個戦隊を偵察の為に当該宙域へ派遣した。

そして彼等も「ガトランティス艦隊の侵入を確認!・・・。」と言う通信を最後に連絡が着かなくなってしまった。

デーリアン少将はこれでガトランティス艦隊の侵入を確心、直ぐに全艦隊を持ってこれを撃滅したい所であったが
"回廊" の首尾を完全に外す訳には行かなかった。

彼はこれがガトランティスの陽動作戦だと考えたのだ。

彼は、ガト軍は錬度の高い小艦隊にイオン嵐の壁を突破させ、ガミラスの監視艦隊を叩く、慌てたガミラス艦隊は
"回廊" の守備艦隊を外してガト軍小艦隊の迎撃向かう、その隙にガト軍本体が "回廊" を抜け、後からガミラス艦隊に
襲い掛かる作戦と踏んだのだ。

< 相手は囮とはいえ、こちらの監視艦隊と増援戦隊を一撃で葬った彼等は強力な艦隊だ。
再び小艦隊を送っては強大な敵に戦力を逐次投入する愚を犯しかねない。
かといって "回廊" の守備も外せない・・・。>

戦争で一番やってはいけないのは戦力の逐次投入である、強力な敵に少ない兵力を向かわせ敗北する、
それを知った司令部は先に投入したものより多い兵力を投入するがそれでも足らず再び全滅する、こうして戦局は
泥沼化し、混迷の度を深めてゆくのである。

デーリアン少将は事の重大さにガミラス大本営に事の次第を報告し、指示を仰ぐ事にした。

**************************************************

「ガミラスの青虫共、脆かったですね。 今まで敵わなかったのが嘘のようです。」副官がナーカスに喜びを伝えた。

「ああ・・・確かに脆かったな、脆過ぎた位だ。 敵も決して錬度が低かった様には見えなかったが・・・。」ナーカスは副官に
返事をしている様で独り言を言っている様にも見えた。

< "自在雷" これはかなり昔に封印された技術のらしい。 
古い技術だからその効果にはあまり期待して居なかったのだが、とんでもない威力を持っていた。
何故、先祖は "自在雷" を封印する必要があったのだろう?>ナーカスは頭を巡らした。

"自在雷" 、それは旧ラスコー級の主砲、輪動砲塔の真ん中に空いている穴からエネルギー球を発射し、母艦任意の
位置に配置、輪動砲が発射するビームをまるでビリヤードの様に弾き、その進路を変える物だった。
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これによりガミラスの皇室・ヨットが持つ "光の花園" と同等の効果をもたらし、全主砲の死角を無くし、その火力を一点集中出来るのだ。

ただ、ゲシュタム・フィールドの技術を持たないガトランティスは反射板誘導弾では無く、エネルギー球とビームの玉突き効果に依ってビームを屈曲させていたので第一撃を終わると再攻撃の為にエネルギー球を配置し直さなければならず、結果、発射速度に劣ったのだが、それは砲塔の交互射撃である程度補いがつき、大きな欠点とはならなかった。

ナーカスが理解しかねたのはこの様に有用な技術を封印していた先祖の考え方だった。

大帝の下で侵略と略奪に明け暮れている今のガトランティス軍人達だったらこの技術を使ってガミラスも忽ち飲み込んでいただろう。

しかし、祖先達は自軍が不利になるのを承知で "自在雷" を封印した、何故か・・・?

その理由は電撃の様にナーカスの心を心を打った。

<この技術を侵略に使えば戦闘に勝てはするだろうが、奪うべき敵の資源や財産までも破壊してしまうのか? 
それを防ぐ為の封印だったのか?だったら、俺は "禁断の箱" の蓋を開けてしまったのか?>ナーカスはこの封印の
意味を深く考え始めた。

**************************************************

 大帝の "謁見の間" から "輪廻の雷" の空間跳躍能力を使って脱出したテレサ・テレザートは今、旗艦の機関室の
片隅でガルダ・ドガーラが待つ駆逐艦指令室に "輪廻の雷" による "回廊" を形成すべく奮闘していた。

しかし、何度 空間跳躍の入り口を開いても冷たい宇宙空間が開けているばかりで待機しているはずのドガーラが
指揮する駆逐艦の艦内には届かなかった。

<謁見の間を脱出するのに時間が掛かり過ぎた、ドガーラが計画通り脱出してもやむをえない・・・か。>テレサは
標準座標をドガーラの駆逐艦に置いていたので現地点を新たな標準座標として設定、大帝の旗艦の中を跳び廻って
次に打つ一手の材料を集めた。

その中の一つにテレサは興味を魅かれた。

それはサーベラーとナーカスの通信の内容からたまたま入手出来た情報だった。
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<旧型ラスコー級巡洋艦十隻の艦隊でイオン嵐を縦断、アムート星系からダガン星系を結ぶ宙域に網を張っている
ガミラス艦隊を引き剥がして本来、ガトランティス艦隊・本体が通りたい宙域を押さえているガミラス艦の数を減らそうと
言うのか・・・。
何と大胆な作戦を立てる漢だ、ヨダム・ナーカスと言ったか、この漢、是非とも欲しい!>テレサはナーカスの属する
ラウス族が秘密兵器 "自在雷" を操る事はまだ知らなかった。

**************************************************

 ここはガミラス皇星、皇都 "バレラス" 、郊外にある乾ドックの一つにメルダ・ディッツが指揮する改・ガイデロール級
航宙・指揮戦艦が収まっていた。

ドック全体を見渡せる張り出しデッキの上でガル・ディッツ提督は手摺を握りつつ、身を乗り出しながら言った。

「見事な仕上がり・・・と言って良いのかな? 儂にはまだ改装部分が殆ど解らんぞ・・・?」
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「それでなくては困ります。 この艦はいくら防御力を格段に上げてあるとは言え、敵艦隊の付近に留まり続けて
一撃離脱を掛ける配下の突撃戦隊を指揮するのですから敵には普通の旧式なガイデロール級だと思い込んで油断して
もらう必要があります。」メルダが何度目か分からない説明をした。

「艦の後部しか赤く塗っていないのは間に合わなかったからか? それとも節約か?」
提督は如何でも良い質問をした。

「これも用兵上の必要事項です。 前は敵からはガイデロールと区別させない為に標準色を、
味方には指揮・戦艦である事を判り易くする為に後部を赤色に塗っているのです。」
メルダは<この親父、呆けたんじゃ無いのか?>と本気で心配に成った。

「配下の突撃艦隊の訓練状況はどうか? お前の事だ、旗艦が就航すると同時に出撃出来る様、準備をしておるの
じゃろう?」水面下で進めていた配下になる予定の艦艇に前倒しで猛訓練を課していたメルダはそれを黙って承認して
くれた父の想いに是非とも応えなければならないと身を引き締め敬礼した。

「デーリアン少将は知・力合わせ持った名将だが、援軍として差し向けてやれるのはお前の艦隊しか無いのだ。 
新艦隊の初陣としてはかなり厳しい戦いになると思うがお前の働きに期待しておるぞ!」ディッツ提督も娘の肩に
手を置き激励した。

**************************************************

 メラ・ドーラⅡ(ア・ルー)がバレラスを離れ、重力制御力場の力でぐんぐん上昇して行く、その艦橋で大佐に昇進させられたメルダが居心地悪そうに立っていた。

<如何に旧式とはいえ、戦艦の艦長が中佐では収まりがつかん! これも体制だ、我慢しろ!・・・か。 全く階級章で
戦闘が出来れば苦労は無い!>メルダが困惑していると通信士が秘匿回線の通信が届いた旨伝えた。

秘匿回線、それは誰から、或いは何処からの通信であろうか?

ディッツ提督なら別に普通回線で何の不都合も無く連絡してくる、他にこの秘匿回線の事を知っているのはガミラス皇室それもユリーシャ・ガミラシアだけだった。

艦長室に戻るとメルダの目の前にあるモニターにユリーシャの姿が映し出された。
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「ルード・ガミラシア(高貴なるガミラス皇女)、御見送り恐縮至極で御座います。」メルダは片膝を着き、両腕を胸の前で
合わせ、深く頭を垂れる礼を取った。

「また闘いに行くのですね、現実は解っているのですがやはり悲しいです。」ユリーシャ・ガミラシアはガミラス皇室・皇女と言う立場になって皇女らしい装いをしていた。

「はっ、これも運命(さだめ)、この身はユリーシャ様の楯となる所存です!」メルダは大望を言った。

「私の事など如何でも良い! 臣民を守って! 兵士を死なせないで!」ユリーシャはメルダに懇願した。

「勿論、我々は臣民を守る為に戦うのです。そして兵士の損害も最小に成る様、努力します。 しかし、相手が強ければ
こちらも無償と言う訳には参りません、御理解下さい。」メルダは戦士としての立場を貫こうとしたが、ユリーシャはそれを
許さなかった。

「貴方達はどうして "外交" と言うと戦闘ばかりに頼るの! 話し合いの余地は本当に無いの!」ユリーシャはメルダの
最も苦手な "政治" をこの戦いに持ち込もうとしていた。

「まさか "外交官" を連れて行けとおっしゃるのですか! 危険すぎます! 相手は蛮族です!」メルダはユリーシャが
"外交官" を付け、作戦行動を制限される事を恐れた。

「あなたに付けてあげられる程、外交官は余っていないわ、それに特別あなたに外交官は必要ないでしょうに。」
ユリーシャは小狡そうな笑みを浮かべた。
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「はぁ、どういう事です! 私は外交官用の学習・訓練は受けて居りません!」メルダが癇癪を起しそうなのを止めて
ユリーシャが続けた。

「地球とガミラス、その戦争の最悪の状況を改善し、ついにはデスラーの暴走から滅ぼされかかっていたバレラスの
臣民を地球のヤマトが救ってくれた。
更には異空間に閉じ込められたガミラス艦を兵ごと救い出す作戦をガミラス・ヤマトの共同戦線で実行、成功させた。
これらの業績はすべてあなたが次元断層内でヤマトへ丸腰でたった一人脱出の為の共闘作戦を提示する為に向かった
事に始まるのよ、充分な実績では無くて?」メルダは次元断層での出来事は全て秘密にしていた。

<あれはヤマトにコダイがいたからだ。 他の者では共闘は失敗したかもしれない・・・。>

<それにこの件については父、ガル・ディッツに対しても私の口からは一言も話してはいない。 
それを何故、ユリーシャ様は知っている・・・。>メルダは困惑を隠せなかった。

「それとあなたにはガトランティスに強力な伝手があるでしょ。」ユリーシャは事も無げに言った。

「何隻もの配下を持ち、ガトランティスでも数少ない秘密兵器を積んだ特殊艦を持っている・・・。 
彼女の名は "テレサ・テレザート" と言ったかしら。
あなたの艦隊は彼女の艦隊に次元断層から救いだされたのよね?」ユリーシャは再びメルダが上層部へ報告していない秘密事項に触れた。

< ・・・ >ユリーシャの告げた言葉にメルダの思考は停止してしまった。

「ふふん、驚いた? あなたの心の中には私の密偵がいるの、隠し事は一切無駄よ。」

<イルダ・・・。その密偵、私の記憶に無い私の妹なのだろうか?>

メルダはユリーシャはある意味、デスラーより恐ろしい支配者だと思った。


                                     194. ”大義”の”甲冑(よろい)” ー(12) → この項・続く

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by YAMATOSS992 | 2016-01-30 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(0)
 イオン嵐を乗り切ったヨダム・ナーカスはガミラスの支配宙域に入る大分手前で止まり、艦隊の編成を単縦陣から大きく
変えさせた。

その陣形は "鶴翼" 、古くからどの民族、星系国家も用いる古典的な陣形でそこには何の新しさも感じ取れなかったが、
彼が取らせた隊形は通常の鶴翼陣より横一直線の横陣に近い浅いV字形だった。

<ガミラスの青虫共め、今度こそ貴様達の前線を中央突破して見せてくれるわ!> "刃雷" と仇名される
ヨダム・ナーカスはガトランティス・ガミラス方面攻略軍の一艦隊を指揮していた。
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小マゼラン雲の一角、アムート星系からダガン星系を結ぶ線は他の星系がイオン嵐吹きすさぶ難所であるにも
関わらず嘘の様に穏やかな宙域だ。

しかし、これはガミラスの作り出した "罠" だった。

本来、アムート星系からダガン星系を結ぶ一線にもイオン嵐が吹きすさんでいた。

ガミラス大本営ではこれを天然の要害と考える事も出来たのだが、強者がこれを乗り越える事を危惧した大本営は業と
イオン嵐の少ない宙域を作り出し、そこに侵入艦隊を誘導、出口で待ち構えたガミラス艦隊群に依って撃滅するのが
常だった。
(グリーゼ581で主星にヤマトを追いつめた技術はこれの転用。)

しかし、ガトランティスにも "雷鳴" のゴラン・ダガームの様な知恵無し者ばかりでは無く、これが罠である事を見破り、
" 平穏な回廊 " を通らずイオン嵐を突破しようと考える強者も少なからずいた。

残念ながら彼等の大半はイオン嵐に呑まれたが "刃雷" のヨダム・ナーカスはじっくりと考え、イオン嵐は強烈に
吹いてはいるが、その強度が一定の場所を突き止め、そこを一気に突破し艦隊を一隻も失わずにイオン嵐を
突き抜ける事に成功したのだった。

しかもヨダム・ナーカスは更にこの侵攻艦隊を特別な艦で統一していた。

彼が今回使った艦は他の部族と同じラスコー級巡洋艦であったが旧式な重装備型であった。
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何故、彼が重装備故に機動力に劣り、兵装配備の非合理さから重装備の割に火力の集中に難がある旧型を
選んだのか?

新型艦は輪動砲塔の数を減らしつつも、兵装配置を合理化、軽量化に成功して旧型とは比較に成らない機動性を
獲得していた。

だが、その新型艦を多数保有していた "雷鳴" のゴラン・ダガームの艦隊もガミラス艦隊とヤマッテの共闘に敗れた。
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そして旧型艦はドメル将軍の指揮する第6空間機甲師団に手も無く捻られ全滅しているのに、である。
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だが、ヨダム・ナーカスにとって旧型艦の重装備ゆえの機動力の悪さはイオン嵐の中では安定性の確保に繋がり、
イオン嵐の防壁を突破に成功したのだった。

また彼は通常ガトランティス艦隊が多用する軽快艦艇、ククルカン級の駆逐艦を同伴させて居なかった。
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先のイオン嵐突破時、主力の巡洋艦が辛うじて安定を保てる程の荒れた宙域では質量の少ない駆逐艦ではその安定を
保てず迷走する事が危惧されたからだ。

「 "刃雷" の戦士よ。イオン嵐の正面突破見事であった。 しかし、駆逐艦が一隻も居ない旧型ラスコー級巡洋艦隊で
ガミラスの強固な防壁をどうやって打ち破るつもりか、考えを聞かせい。」シファル・サーベラーは立体通信でナーカスを
問い質した。

「ははぁ、旧式艦ゆえの不利は承知しております。 後は初志貫徹の意志あるのみで御座います。」ナーカスは愚直な
応えを返した。

それを聞いたサーベラーは<この男もか!>と言う侮蔑の眼差しをナーカスに送ると「吉報を待つ!」とだけ告げて
通信を切った。

<フン!大帝の雌犬め!貴様などに我等が持つ秘儀 "自在雷" の秘密は簡単に渡してたまるか!>ナーカスもまた
テレサの故郷、シェザード族と同じく表面上は大帝に従っているものの、心から忠誠を誓って仕えている訳では
無いのだ。

こうした内情の不統一がガトランティスのいや、"大帝" の懸案事項だった。

これを緩和する為の "策" の目玉として一大勢力にあり空間跳躍の技に勝れるセジャード族の姫 、
"レティファン・クエセジャード" を "大帝" の妾籍に向かい入れ婚姻関係を持って中央勢力の拡大を目論んだ
サーベラー丞相であったのだが、肝心の "姫" が "真の名" に目覚め "使命の神託" を得て "テレサ・テレザート" と
名乗り、セジャード族の元を離れ、新たな新興勢力として台頭して来たとあっては何もかもぶち壊しになってしまった。

一度は "姫" を"大帝とサーベラー" の本拠まで引き摺り出す事に成功したが姫もさるもの、個人用空間跳躍という
サーベラーの信じられない技で彼等の手をすり抜けていった。

**************************************************

 目の前に広がる宇宙空間は平穏で今までイオン嵐に揉まれた続けた航行とはうって変わった平穏な航行だった。

しかし、ヨダム・ナーカスは気を緩めなかった、< 一応 ガミラスの裏はかいたつもりだが、こんな巧妙な " 罠 " を
張って来る敵の事だ自らの策が破れる事態も考慮していると考えるべきだ。>と信じる彼は次なる策を用意する様に部下に命じた。

「ナーカス様、全艦 "自在雷" 使用可能になりました。」副官が報告する。

「よし、分かった、全艦 "自在雷" 使用準備態勢のまま前進だ!」ナーカスは率いている艦隊十隻に命令を徹底する様に
命じた。

「前方一光秒の空間に次々にと所属不明艦が "空間跳躍" して来ます。現在その数二十隻、こちらの倍の数です!」
探知主任が悲鳴を上げた。

< 一光秒か、"自在雷" が使用出来るギリギリの距離だ。 だが今目前に居る敵がガミラスならその優れた機動性で
我等を押し包んで攻撃して来る。敵が態勢を整える前に先制攻撃を掛けるべきだ。>ナーカスはそれまでの
対ガミラス戦を良く研究していた。

「 敵が態勢を整える前に "自在雷" による攻撃を掛ける! 全艦、後部砲塔の "自在雷" を起動、前方砲塔はそのまま
直接目標を狙え、後部砲塔は "自在雷" を使った間接射撃で火線を集中して敵を殲滅する!」ナーカスの命令は簡潔だった。

しかし、この日の為に猛訓練を積んで来た部下達にはそれで充分だった。

旗艦ルード・ナルドは勿論、旗下の九隻も殆ど同時に後部輪動砲塔の中央に空いた穴から穴より少し大きめの
エネルギー球を吐き出し、その級は母艦の少し上で止まったまま、母艦と同方向に動き始めた。

旧ラスコー級は前方に五基の輪動砲塔を集中出来るが後部四基は射撃出来ない。

また輪動砲塔の特性上、一基の砲塔が一度に構成出来る火線が一本なのも欠点だ。

しかし、連射は出来るのでその欠点は大分少なくなるが、それでもやはり多連装砲には同等か、少し劣る物でしか無い。

だが "自在球" を使えば輪動砲塔の欠点が無くなる訳では無いが普通は使えない後部砲塔のビームも前方に指向
出来る様になる、これでどの方向にも八門の火線を集中出来る様になったのだ。
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「 "自在球" 所定位置に配置完了!」火器管制士が主任に報告する。

「よし、全主砲発砲せよ!」火器管制主任はナーカスの司令を待たず、発砲命令を下した。





                                       193. ”大義”の”甲冑(よろい)” ー(11) → この項・続く
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by YAMATOSS992 | 2016-01-23 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(0)
 「済まぬな、メルダ・・・。今の航宙艦隊の事情では新型艦は前線から外せんのだ。」ガル・ディッツ提督は娘である
メルダに都合を付ける様に頼まれた航宙戦艦のデータを示した。
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「これは・・・。二等級の戦艦ですが、一等航宙戦艦 "ハイゼラード級" のベースになった名鑑、ガイデロール級では
ありませんか!」メルダ・ディッツ中佐は父の腕に抱きついた。

「この艦ならユリーシャ様の皇室・巡航戦艦 "アヲ・スイショウⅡ(ア・ルー)" と同様な改装が施せます!」

「おおっ、お前もユリーシャ様の慧眼に目覚めたか!」ガルは娘の成長を素直に喜んだ。

「はい、巡洋艦は速度では無く、航続距離に勝れた艦、駆逐艦は攻撃力は勿論、どんな宇宙気象でも戦力を
発揮出来る艦、そして戦艦は攻撃力より防御力を重視すべきなのです。」メルダはかつて父に言われた言葉を返した。

「何故そう考える?」父の顔から提督の顔に戻ったガル・ディッツはメルダの真意を確かめたかった。
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<単なるユリーシャ様の改装の模倣か、用法研究の成果による改装か、最後に確かめねば貴重な "艦と乗員" を
預けられん!>提督はメルダの答えを待った。

「提督、それは自艦が二等級でも絶対的な防御力さえ持っていれば相手が一等級の戦艦でもその攻撃力を恐れる
必要はありません。

そしてこちらの攻撃力が駆逐艦級、それも後部砲塔の中口径砲でも至近距離まで近づければ、相手の装甲を貫き
戦闘力を奪う事も可能です。」メルダは迷う事無く明確に答えた。

「ですから主砲塔は最前部の一基に絞り、前方を向いている魚雷発射管も底部の六基を除き全部撤去します。 
まぁ、外観上あまり差があると敵に付け込まれますので外観上は装備している様に装いますが・・・。」メルダは更に続けた。

「肝心な防御力はどうする? 皇室巡航戦艦はクリピテラ級二等級航宙駆逐艦の機関を三基装備して強力な
"ゲシュタム・フィールド" を発生させる事が可能だが、それはユリーシャ様だから都合を付けたまでの事、お前にまで
恩恵は与えられんぞ!」娘の用兵家としての素養に舌を巻いたディッツだったが、少し意地悪をしたく成ったのだ。

「構いません、私は必要な部品が沢山ある所を知っていますから問題ありません。」メルダは提督の思いも依らない
回答をした。
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「それはどこだ?」ガル・ディッツ提督は厳しい目でメルダを見つめたが彼女は応え無かった。

しかし、彼女は心なしか微笑んでいる様に見えた。

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「いやはや、どれ程の艦が沈んだのですか?」ルルダ・メッキラ大尉はゲシュタム・ジャンプ明けの空間に広がった
驚くべき光景に目を見張った。

「約1万隻・・・。いや帝星に帰還で来た艦艇が約3千隻いたから、この残骸は7千隻分のものだ。」メルダはバラン星に
あったゲート・コントロール・システムの爆発とそれを引き起こしたヤマトの波動砲の威力に改めて恐怖を感じた。
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「さて、それでは主機関が無事な艦など残っているか、妖しいですね。」メッキラ大尉はこれからメルダ中佐が行おうと
しているサルベージ作業の困難さを思うとつい心が暗くなった。

「でもないさ、爆発するバラン星から退避しようとして間に合わなかった艦の主機関は全損と考えるべきだが、脱出が
大幅に遅れ、艦首をバラン星に向けたまま大破した艦はその強固な前面装甲で後部にある主機関を守ってくれた
可能性が高い、7千隻だぞ、7千隻、そんな艦が3隻位残っているだろう。」メルダは相変わらず楽観的だった。

「さぁ、サルベージ作業を開始しろ! 目的はクリピテラ級航宙駆逐艦の主機関を3基回収する事だ、作業かかれ!」
メルダの命令にガイペロン型多層空母の大容積を利用した高収容能力を持つ作業艦 "ガルン・バシュケ" は
搭載・探査艇を発進させ、めぼしい残骸を調査し始めた。

しかし、現実はやはりメルダの考えの様に都合良くはいかず、主機関が無償のまま壊れた艦艇は殆ど皆無だった。

<仕方ない、無事な部品だけ回収してクリピテラ級の主機関を再構成しよう。>探査艇の中で技術士官、
オルト・シーンブ少尉は方針の切り替えをメルダに具申した。

しかし、それでもクリピテラ級の主機関は2基しか組み上がらなかった。

それほどバラン星のゲート・コントロール・システムの破壊エネルギーは強大だったのだ。

メルダが報告を聞いて困惑しているとかつての部下、クリフ・ラッド大尉が艦橋に入って来た。
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「メルダ司令、お久しぶりです。」ラッド大尉はメルダの旗艦、"メラ・ドーラ" の火器管制主任だった男だ。

「おお、クリフ、次元断層で遭難しかかって以来だな! 懐かしいぞ!」メルダもかつての部下を暖かく迎えた。

「で、今度は何だ? また親父に言われてじゃじゃ馬の御目付か?」

彼がメルダの陰の補佐役なのは彼女には秘密だったのだが感の良いメルダは直ぐに彼の役目を見抜いていた。

いきなりカウンター・パンチを喰らったクリフ・ラッド大尉はバツの悪そうな顔をしながら本題に入った。

「司令、実は妹君から託された "土産" をお持ちしました。」ラッド大尉はメルダの思いも依らない事を言った。

「妹? 何の冗談だ、私はガル・ディッツ提督の一人娘だが・・・。」メルダは対処に困った。

「いえ、実在して居られます。今はさる高貴なお方の懐刀として常時仕えて居られるのでディッツ家を離れて暮らさざるを
得なかったのです。」ラッド大尉は真剣だった。
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<そうだとしても私には妹の記憶が無い・・・。何故だ! どんな任務を負っているのだ!>何か禍々しいものが心の中で
蠢くのをメルダは感じた。

しかし、その妹からの "土産" とは何か? それは大いに気になるメルダだった。

**************************************************

「これがあの戦艦の改装後の姿なのかね? 何も変わっていない様に見えるが・・・・」メルダに見せられたスクリーンに
映っているのは当たり前の "ガイデロール級戦艦" だとしかディッツには見えなかった。
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「違いがお分かりに成りませんか、提督。」メルダはスクリーンを指差して微笑んだ。
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この艦がガミラスの戦術に革命をもたらし、軍のドクトリンにまで影響を与えるものになるとは開発したメルダ自身も
気付いていなかった。




                                       192. ”大義”の”甲冑(よろい)” ー(10) → この項・続く

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by YAMATOSS992 | 2016-01-16 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(0)
 「 "大帝陛下" との ”約束の刻限” が迫っておりまする。
遅参いたせば”大帝との会見” 、失敗に終わるやもしれません。」 ”迅雷” のガルダ・ドガーラがテレサ・テレザートに
予定の遅延を苦慮した。

「仕方ないじゃろ! ”古への星の海往く船乗りの約定” は本来、我がガトランティスに源を発する "約定"じゃ!
見捨てる事は出来ん!」テレサには己の行為に恥じる所など無かった。

<テロンのヤマッテはともかく、今度はガミラスの小艦隊、こいつ等は動かし様の無い我がガトランティスの敵!
何故ここまで御身体を危険に晒してまで助けたのか、儂には理解出来ん・・・。> テレサの武勇は本物だ。

それは実際剣を交えた事のあるドガーラ自身が一番良く知っている。

<テレサ・テレザートはガトランティス史上に確実に名を残す勇者に間違いはあるまい、しかし、敵に情けを掛けると
言っても限度がある!>ドガーラは ”ゴルエン族の客分” 時代の好戦性がまだ抜けていないのだ。

しかし、そんな事を気にするテレサ・テレザートでは無かった。

ボ・ルドウ侍従長はテレサがドガーラを側近に選んだ時、昨日の今日まで敵だった男を信用するのは反対だと
強硬に主張していた。

しかし、テレサはドガーラの剣を取り上げる事もせず、側近の一人として取り立てたのだ。

「使命の神託」を得、シェザード族から正式に分家したテレサ・テレザートは家臣もシェザード族時代から一新する必要が
あったからだ。

これからテレサは「使命の神託」を得た者としてガトランティスの数多ある部族の中で特異な行動を取る事になる、
場合によっては ”大帝” はおろか、父王、その人が率いるシェザード族さえ敵に廻さねばならなくなる可能性も
あるのだ。

< まっ、先の事は幾ら心配しても始まるまい・・・。 それよりもまずは ”大帝” との会見を成功させる事じゃな・・・。>
テレサは先の事をくよくよ悩む性格では無かった。

「 "迅雷の戦士" よ。 妾が "大帝の旗艦” に移乗したら直ぐに艦隊を離れよ。」テレサはドガーラの思いもよらぬ事を
言った。
 
「何故で御座りまする! 我に "陛下" をお見捨てする事など出来もうさん!」ドガーラは理不尽なその命令に納得が
いかなかった。

「慌てるな。この命令には続きがあるのじゃ。」テレサは悪戯っぽく微笑むと詳しい作戦計画をドガーラに話した。

「は、はぁ~っ。」作戦内容を聞いたドガーラは一応、平伏したが、その心の内では<そんな事が "人の身" に
出来る事>とは思えなかった。

**************************************************

 <遅い約束の日時を二日も過ぎている! あのじゃじゃ馬め、また逃走したのではあるまいな!>

シファル・サーベラーはテレサ・テレザートの遅参に痺れを切らしていた。

そこへ船着き場からテレサ・テレザートの来訪が告げられた。

「よし、従卒を派遣する。 それとテレザート殿の随行は何名か?」

問いかけられた出迎えの将校は戸惑った声で応えた。

「テレサ・テレザート様、御一人です。 御一人で短艇を操艇して来られました。」

「とにかく "謁見の間" にお通ししろ!」サーベラーはテレサの意図が分からず考え込んだ。

<この "大遅参" と "単身での謁見"、・・・ 何か関係があるのか・・・。だとしたらそれは一体何だ?>サーベラーの心は
猜疑心から千路に乱れていた。

不安な想いを抱きつつ、サーベラーは "大帝" に付き従って "謁見の間" に入った。

"大帝の玉座" は謁見者の居る広間より五段分高い位置にあり、"刺客" の襲撃を行い難くしていた。

そこに "大帝" が座るとテレサが訪問の口上を述べた。

しかし、そこには "遅参" の "詫び" はあっても "理由" は無かった。

「 "大帝" を二日もお待たせしたのは何故か?」サーベラーは怒りを面に出さぬ様気を付けながら尋ねた。

「理由は明かせませぬ。”古への星の海往く船乗りの約定” ゆえ ・・・。」テレサは大胆な事を告げた。

「訳の分からぬ事を言う女じゃ! 二日もの間どこで何をしていたと問うておるのじゃ!」今度は流石にサーベラーも
切れた。

「”古への星の海往く船乗りの約定”か・・・。 久しく聞かぬ言葉だ。 お前がそれを成したと言うのか、
テレサ・テレザートよ。」それまで沈黙を守っていた "大帝" が初めて口を開いた。

「いけませぬ! "大帝" 、こんな成り上がりの女族長に言葉をお掛けに成る等勿体無い! 伝えたい事がおわすなら、
この丞相、"シファル・サーベラー" がお取次ぎいたしまする。」サーベラーは面目を失い慌てて抗議した。

「良いではないか、たまにはお前以外の女と公の場で直接話すのも一興だ。」"大帝" はサーベラーの抗議を無視してテレサに発言を促した。

「ではお言葉のままに・・・。」テレサはガトランティスの軍事上の現状とその行き詰まり、それが及ぼす政治・経済への悪影響について語った。

そして現在の力による略奪を止め、周辺星系国家との交易による共存・共栄を求めた。

「何をたわけた事を! 我等 ”ガトランティス” の ”始祖” は ”古き美しき海” を後に何万年も前から宇宙を一直線に
突き進み、その行く手を阻む者共を打ち払い、同時にそれが持てる資源を接収して生きる糧として来た、
今更、その生き方を変えろとはテレサ・テレザート、何様のつもりじゃ!」 一際高い玉座に座った ”大帝” と
大広間の床に片膝をついたテレサ・テレザートの間を取り持つ ”シファル・サーベラー” がテレサに錫杖代わりの鉄扇を
突付けて声高に糾弾した。
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「何も今すぐに全てを変えられるとは思っておりませぬ。 しかし、ガトランティスのあるべき姿だけは考えておく必要が
あると存じます。 
何せ、我等が ”始祖” は ”古き美しき海” を ”石もて追われた” と聞きます。
今後もそうした ”危難” が我等の行く手を遮らぬ保障は無いのですから。」テレサはサーベラーの剣幕を物ともせず
言った。

「減らず口を叩きおって!」テレサの言葉に憤るサーベラーに大帝は合図を送って呼び寄せた。

そして、大帝はサーベラーを呼び寄せると耳元で囁いた。

「これまでだ。」

それを神妙な面持ちで聞いたサーベラーは改めてテレサの方に向き直り口を開いた。

「テレサ・テレザートよ、お前はガトランティスの行く末など考えなくとも良い。

それは 至上、”ズオーダー大帝” 様がお考えになる事! そちは良き妾となる事のみを心掛ければ良い!」
サーベラーが合図すると隠れていた兵士達が飛び出し、テレサを取り囲んだ。

しかし、テレサは不敵に微笑むと二十名は居る兵士達など目に入っていないかの様にサーベラーに言葉を突付けた。

「サーベラー丞相殿、我は ”テレサ・テレザート” 、最早、シェザード族・第二王女、レティファン・クエシェザードでは無い!
 従って妾籍に入るつもりも無い!」

「この痴れ者を取り押さえよ!」サーベラーはテレサの言葉に怒りを抑えられなかった。

兵士達は大剣を抜き、テレサを取り囲んだが、彼女は慌てる風も無く、ビキニ・アーマーの上に纏っていたマントの左肩に
右手を置き、勢い良く留め金を外すと大きく振った。

するとマントは遠心力で広がり、更に眩い光に変わると兵士達の目を焼いた。

更にその光は凝集するとリング状に成り、テレサの手の中に納まった。

これこそテレサ・テレザートが駆使する最高霊操 ”輪廻の雷” である。

”霹靂” ガルダ・ドガーラ達と闘った時は ”光の鞭” 、”光の刀”の二形態しか見せなかったが今回は任意の部署で
リングを外し、左右に引き伸ばすと”光の長竿” に変形した。

テレサはそれを小脇に抱えて ”大帝” の玉座目がけて走った。

<奴(サーベラー)は大帝・暗殺を恐れ謁見の広間へ銃で武装した兵を配置して居ない、飛道具を持った兵が裏切る事を
警戒しているのか! 情けない奴等!>テレサは自分の左右を横走りに走り、行く手を塞ごうとしている衛兵達の一団の
動きに目を配りながら大帝の玉座目がけて走った。
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兵士等は銃で武装してこそ居なかったが剣技には非常に勝れていた。

凡庸な剣士の集団であれば取り囲んだ敵にバラバラに切りかかり、敵が使い手だった場合は部分的にいなされて囲みを
破られてしまうものだが、テレサを取り囲んだ一団は完全に一体化した戦闘行動をとって来た。

<こいつ等、出来る! 長引くとやっかいだ!>テレサは取り囲む兵を光の長竿の一端を握って振り回し敵兵の囲みに
隙間を作った。

飛び退ってテレサの攻撃をかわした精兵達であったが、次の瞬間、彼らは信じられないものを見た。

テレサは光の長竿を丸めて端同士を繋ぐと ”輪廻の雷” 本来の姿に戻すとその輪の中心に身体を潜らせ中に消えて
行った。

<シェザード族は ”空間・跳躍” の技に勝れると聞いていたが個人レベルでまで跳躍出来るとは思わなかった!>
サーベラーは己の読みが浅かった事に冷や汗をかいた。

<あのまま、”大帝” の懐に飛び込み、刃を振るわれていたらと思うとゾッとするわ!>テレサがいち早く撤退してくれた
のをサーベラーは幸いに思った。

しかし、次の瞬間、サーベラーは大事な事を思い出した。

「きゃつの乗って来た ”短艇” を押さえよ! すぐにじゃ!」サーベラーの命で兵士の一団が船着き場に辿り着くと老兵が
一人、本来旗艦に搭載されている ”短艇” の管理をしていただけだった。

しかし、そこにはテレサの短艇は影も形も無かった。

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その頃、ガルダ・ドガーラは随伴艦の一隻、ククルカン級宇宙駆逐艦の艦橋で焦れていた。

”大帝” の旗艦、巨大戦艦の護衛は多い、一隻位他勢力の船が混じっていても気付かれ難かった。

「会談は必ず決裂する!そうしたら直ぐに全速で此処を脱出する!距離を取り次第、最大空間跳躍でこの宙域を
去るのだ!」テレサの命令は明確だった。

しかし、そのテレサ本人が合流して来ないのだ。

多分、サーベラーはまだ、旗艦艦内でテレサを捜索しているであろう、まさか随伴艦内にテレサが自艦を隠していようとは
思ってもみないはずであった。

とはいえ、ぐずぐずしていれば ”大帝” 側に何れ発見されてしまうのは明白だった。

テレサを回収し次第、最大戦速で離脱、直ぐに空間跳躍に入る、それがベストの選択とドガーラは
判断していたのだが・・・。
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ドガーラは自らの駆逐艦を ”大帝” の座乗艦の途方も無い巨体を掠めるようにしてテレサとの最終的に打ち合わせた
空間座標に再度、持っていった。

だが、指定座標で待つこと1時間、テレサは現れなかった。

何らかの祖語が起こったのだ、こうした場合にはドガーラはテレサを捨てて離脱する様、命じられていた。

しかし、ドガーラにとっていくら ”主人” の ”命” とはいえ ”主人本人” を見捨てて自分だけが助かる事などガトランティス
戦士の誇りが許さなかった。

かと言って闇雲に ”大帝” の旗艦に駆逐艦一隻で突っ込んで行くほどドガーラは無鉄砲では無かった。

刹那の間思案した彼はある座標を航海士に指示し、彼の駆逐艦は ”大帝” の旗艦の脇を離れ、
空間跳躍に入って行った。

                                                                            

                                       191. ”大義”の”甲冑(よろい)” ー(9) → この項・続く

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長らくお待たせしました。 

宇宙戦艦ヤマト前史 "2199挿話" "大義の鎧" 再開させて頂きます。

大スランプに陥ったため、書けなくなってしまいました。

ブログのレポート頁を見るとこれだけ待たされても拙ブログを訪れてくれる人がいる事に感じ入り、書き掛けの190話を大修整して今回、やっと記事をアップ出来ました。

また今回のスランプの原因の一つである上橋菜穂子先生の " 守り人シリーズ " との出会いは沢山の課題を
私に課しましたが、得た物も多く、この出会いは僥倖として考えて往きたいと思って居ります。
(3月からNHKで大河ドラマが予定されています。全22話で " 守り人シリーズ " 3年渡って描くそうです。
 主演:綾瀬はるか )

BSで既にアニメ版は発表されていますが、これは " 守り人シリーズ " の序章、"精霊の守り人" までなのでそれ以降の
様々な大国小国を巻き込んだ騒乱や自然の驚異を大スペクタクルで最後まで描くそうですので
非常に楽しみにしています。
(アニメ版の出来が非常に良かったので実写での出来がどうか、少し気に成る所ではありますが・・・。)




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by YAMATOSS992 | 2016-01-09 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(2)