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宇宙戦艦ヤマト前史

yamato2199.exblog.jp

宇宙戦艦ヤマト登場前の地球防衛軍の苦闘を描きます。

 パイロットが目的地周辺宙域に空間跳躍した事を告げた。

<この宙域が私の幽閉地なの・・・?>テレサは窓の外を見た。

しかし、彼女の思いに反して窓の外には緑色の美しい惑星があった。
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<・・・>テレサは大帝やサーベラーの考えが解らなかった。

テレザリアム(テレサの幽閉カプセル)を宇宙空間に置けば生命維持装置を持たぬテレサはテレザリアムを離れる事は
出来ぬし、艦砲射撃でテレザリアム毎葬る事も容易いはずだ。

訝しがるテレサの元にサーベラーからの文書通信が入った。

” この惑星は気に入ってくれたものと思う。大気は有毒だが腐食性は無い。この惑星の地下深くの空洞にテレザリアムを配置する。”

テレサは何故こんな手の込んだ事を彼等はするのだろう・・・と疑問を持った。
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確かにテレザリアムを宇宙空間にに配置した方が防御はし易い、しかしその防御は一段しか設定出来ず破られればそれまでだ。

しかし重力井戸の底である惑星内部におけば違った種類の防御網を何段にも敷く事が出来る。

それに気づいたテレサはこれは大帝の指示では無く、サーベラーの用意周到さの表れだと感じた。

そして彼女は携帯通信端末を手に取ると短い言葉を打ち込んだ。

<この惑星の名は『テレザート』とします。>

それを受け取ったガトランティス中枢部は大混乱になった。

「テレザリアムはどの様な通信も遮断して外部に漏らさぬ構造のはず、何故テレサが通信出来るのだ!」
サーベラーはテレザリアムを設計した技術陣を締め上げていた。

<いや、それよりも我々の現在位置から数万光年離れたテレサがその距離を例の "空間跳躍の技" で埋めたとすれば
その方が恐ろしい・・・。」

その狂態を冷たく眺めていた大帝は今度テレサとあいまみえる時は互いの存亡を賭けた死闘になるであろう事を
強く感じていた。

「サーベラー、重臣達と技術者の長を全て集めよ!」大帝には何か腹案がある様だった。

**************************************************

漆黒の宇宙空間、その暗黒を切り裂いて一条の光が走っていた。

それは巨大な彗星だった、しかしその進行方向に恒星は無かった。
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通常、彗星の尾(エンベローブ)は恒星からの太陽風によって氷の塊である彗星の表面が融かされ恒星と反対方向に
延びるものである。

だから恒星から彗星が遠ざかって行く時など進行方向側に尾が伸びる事もある。

恒星が無いのに尾を引いているこの彗星は天然の物では無く、人工のものであるからであった。

「この都市帝国は中性子ガスで覆われています、そして大帝の玉座は巨大戦艦から別の場所に移しました。
これであの "女" も陛下の居場所を特定出来ず、途方にくれる事でしょう。」サーベラーが自信たっぷりに言った。
   
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「うむ」大帝は短く相槌を打ったが心のうちではテレサにこんな子供だましが通じるはずが無いと思っていた。

**************************************************

「間も無くアケーリアスのGATEに接近します。」サーベラーが状況を報告した。

ガミラスが管理しているのは大小マゼラン雲近傍のゲートだけなのでガトランティスは銀河系内に在るGATEを使う事は出来た。

しかし大戦艦クラスはまだしも超巨大戦艦や都市帝国は大きすぎてGATEは潜れなかった。

<大き過ぎるのも問題だな、通常艦艇ならGATEを使って目の前の星雲など既に平らげている物を・・・。>大帝は
テレサの述べた思想の方が正しいのではないかと思い始めていた。

「陛下、先遣艦がGATE近傍空間で漂流物を回収した様です。」サーベラーがつまらなそうに報告した。

「何を回収したのだ?」大帝は彼女と違って何か興味を持った様だ。

「ガミラスの物と思しき艦艇の一部です。ただし生存者は居りません。」サーベラーは唯の残骸、価値など全く認めて
居なかった。
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「合い解った!」大帝はそう言うと玉座からスックと立ち上がった。

                                        

                                          199. ”大義”の”甲冑(よろい)” ー(17)→ この項了 
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# by YAMATOSS992 | 2016-03-12 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(0)
 <何だ、この停戦条項は我々の無条件降伏に等しいではないか!>サーベラーは大帝とテレサの遣り取りを
成文化しながら憤っていた。

停戦の条件は以下の如くであった。

① ガトランティス軍はガミラス帝星の領内から即時撤退し今後、未来永劫に渡ってその矛先を ガミラス帝星に
   向けぬ事。

② 配下から独立しようとする部族の行動を妨げない事。 また独立を検討している部族の独立を妨げない事。

③ ・・・ ・・・

延々と続く条文は大帝側の譲歩の連続だった。

サーベラーは丞相と言う地位の職責上、その全てに目を通さなければ為らなかったのだが、その作業は彼女にとって
苦痛以外の何物でも無かった。

<何故、大帝はこんな屈辱的な停戦条項を呑んでしまわれたのだろう・・・。>今まで対等な立場で交渉すると言う事の
無かったサーベラーにはこの条件を呑んだ大帝の心の内は判らなかった。
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しかし、この停戦条件にはテレサ側の大きな譲歩があり、大帝はそれを得る為に小さな譲歩を重ねていたのだ。

それは大帝の率いるガトランティスの略奪・生計を認める事である。

テレサはガトランティスの略奪・生計を否定し、星間貿易立国を図りたかったのが本根だったが、いきなりそんな綺麗事を
押し付けようとしても長年、楽をして生計を立てていた人々が力による外交を捨て去る事が簡単には出来無い事を
彼女は理解していたので条文化はしないものの条文の行間に今までの生計の立て方を認める事を感じ取らせる様に
配慮していた。

「・・・以上、これらの条項を我がガトランティス帝国と新生ガトランティス王国の間で結び、双方これを尊重、
厳守するものとする! ズオーダー大帝、宜しいですね。」サーベラーが締結条項を読み上げ読み上げ終わると
大帝の方を向き承認を求めた。

その放漫な態度にガルダ・ドガーラはテレサの傍らで怒りを抑えるのに必死だった。

「良い!」テレサは配下を明るく抑えると大帝の方を見やった。

大帝は見つめるテレサに頷くと満足そうに微笑んだが次にサーベラー丞相に厳しい目を向けた。

その刺すような眼差しにサーベラーは敢えて尊大に告げた。

「この約定は "古への星の海往く船乗りの約定" に基づくもの、更にこの約定を完全な物とするため”輪廻の雷”なる物の引き渡しを申し受けたい。」この言葉に新生ガトランティス王国側の面々は闘志を剝き出しにして抗議しようとした。

それを片手で制するとテレサは口上を述べた。

「ズオーダー大帝殿、停戦条約の締結いたみいる。 さて、先程、丞相閣下が求められた追加条項の件であるが
残念ながら認める事は出来ない。 何故ならこの条約の実効性を保証するものが "輪廻の雷" の威力だからだ。」
テレサはこの条約が王国側が帝国側を脅迫する事で成り立っている事を隠そうともしなかった。

「しかし、帝国側としては一方的に脅しつけられ、不平等な条約を結ばされたとあっては大帝陛下の面子はもちろん、
サーベラー丞相閣下もその立場を失いかねない。 その事を恐れているのであろう?」サーベラーはテレサの
慇懃無礼な態度に心の内で歯ぎしりした。

「我が名はテレサ・テレザート、"愛もて統べる者"、その様な不満を残したまま停戦条約を結ぶ訳にはいかぬ。 
かといってこの条約の実効を保証する "輪廻の雷" を帝国の手に渡す事も出来無い。」テレサは交渉の行き詰まりの
問題点を指摘した。

「そんな事は判っておるわ!  "輪廻の雷" とやらが渡せないとあらば、そちがその身を持ってこの条約を贖って
見せるか!どうじゃ、そんな事は出来まい!」サーベラーは嘲笑した。

「丞相閣下、その様な事で良いのであればこの身を帝国に委ねる事に妾は何の躊躇も無い、さあ何処ぞなりと連れて行き、幽閉するが良い。」テレサの決断は速かった。

「しかし、 "輪廻の雷" を手にしたままでは何処に幽閉しようが自在に抜け出せてしまう、そんな事は無意味じゃ!」サーベラーは即座に否定した。

「フッ、疑い深い奴・・・。」テレサはそう呟くと自らの甲冑を脱ぐとサーベラーの足元に放り投げた。

「なっ・・・。」テレサのあまりに唐突な行動にサーベラーは二の句が継げなかった。

「この甲冑には生命維持装置が組み込まれている。 従って妾の幽閉先を宇宙空間にすればいくら "輪廻の雷" の力を持ってしてもこれを脱いだ妾は幽閉先を脱出する事は叶わぬ。 どうじゃこれなら帝国側の危惧も無くなるであろう?」
テレサは全裸になっても堂々と大帝の前に直立していた。

「テレサ様! それではこちらが、新王国側が圧倒的に不利になり申す! 貴女様がいてこその新王国です!」
"迅雷" のガルダ・ドガーラが猛烈に抗議した。

「控えい! ズオーダー大帝、サーベラー丞相の御前であるぞ!」テレサはドガーラの顔を見据えると叱責したが、
次の瞬間テレサの目は和らぎ、ドガーラは彼女の真意を受け取って無言で引き下がった。

「大帝閣下、サーベラー丞相殿、妾は "輪廻の雷" を携えたままこの身を帝国にお預け申す。 しかして我が臣下のみ
ならずガミラスを初めとする他勢力は帝国が妾の身を得た事で攻撃的態度に出る事を心配している。」テレサは一度
ここで言葉を切った。

「しかして、大帝陛下、その様な所業をなさらぬ事を "古への星の海往く船乗りの約定"に基づき確約して貰いたい!」
テレサは直立しつつ、胸を反らし、両腕を腰の辺りに広げ自らの身体の全てを隠さずに言った。

その姿にその場にいた一同は声を失った。
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<美しい、美し過ぎる・・・。>サーベラーは同性を見ている事も忘れてテレサの裸身に見入っていた。

<はっ、大帝閣下は・・・。>サーベラーは大帝がテレサの裸身に見入っている姿を想像してしまい、玉座の方を見るのが
憚られた。

大帝も男である、鼻の下を伸ばした顔を晒している事を恐れたのだ。

しかし、大帝は大笑いをするとテレサの行動に感嘆の意を述べた。

「テレサ・テレザート、何と潔い女性(にょしょう)よ。 ここまでやられては腹も立たん、笑うしかあるまい、
のうサーベラー。」大帝は一段下に控えた丞相に声を掛けた。

サーベラーは大帝の意を酌むと部下が用意したポンチョ様のドレスをテレサに差し出した。

テレサは能面の様な表情のままそれを受け取ると頭から被った。

「なっ、これは!」ガルダ・ドガーラやボ・ルドウ達、テレサ側の側近達は屈辱に色めき立った。

何故なら渡されたドレスは極度に布地が薄くテレサの裸身は殆ど隠し切れない物でしか無かったのである。

テレサの側近達は大帝が主人を晒し者にしようとしていると受け取り怒りを露わにしたのだった。
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「待てい!」テレサが左手を肩の高さまで上げ、掌を後方に居る側近達の方に向けて彼等を制した。

<しめた!>サーベラーはテレサがドレスを着用したのを確認すると手の内に隠し持った小さなリモコン・スイッチを
押した。

しかし、何も起こらない、彼女は焦ってリモコンを眼前に持って来てテレサに渡したドレスを拘束衣に切り替えるボタンを
連打したが何も変わらなかった。

「見苦しいぞ! サーベラー。下がれ!」大帝の叱責の声が飛んだ。

「はっ。」サーベラーはリモコンをマントの内に隠すと大広間から退いた。

<大帝、喰えない男だ。妾に拘束衣を着せようとしたのは自分のくせに、その試みが失敗すると部下に責任を
押し付ける、典型的な独裁者のやり方だ。> テレサは大帝の支配者としての器の大きさを見誤っていたと感じた。

<くそっ、テレサ・テレザートは空間跳躍の技を持って電磁波の遮断も出来るのか!>サーベラーは歯軋りしたが実際は
テレサといえどその様な事が出来るはずも無く、ドレスを受け取った時 "輪廻の雷" から大電流を導き出してドレスに
仕込まれた変形回路を焼き切っただけの事であった。

しかしテレサの空間跳躍の技の数々を見せつけられているガトランティス側は勝手にこれも空間跳躍の技の一つと
誤解したのである。

その事に期が到来した事を感じたテレサは大声で宣言した。

「方々、妾の力をこれで充分に認識された事であろう、妾ごとこの力を封印する事は帝国、新王国のみ成らず、
ガミラスにも平和をもたらす物じゃ!」テレサは大胆に大帝を指差した。

<テレサ様、本当にこれで良いのですか?> "迅雷"のガルダ・ドガーラは自ら幽閉の道を選んだ主人の心が
解らなかった。

<姫、脱出するなら今ですぞ!>旧侍従長ボ・ルドウもテレサの真意が解らなかった。

<爺、ドガーラ、そなた達なら今は解らなくとも必ず解ってくれると信じておるぞ・・・。>テレサは最早ドガーラやルドウの方を見やりもしなかった。

だが、その口元には笑みが浮かんでいた。

「ヤマト・・・。」それは誰にともなく語られた。

「え? ヤマッテ・・・?」サーベラーが問い返した時テレサは既に謁見の間から姿を消していた。


                                        199. ”大義”の”甲冑(よろい)” ー(17)→ この項続く

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# by YAMATOSS992 | 2016-03-05 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(0)
 <皆、生命の無駄使いをしおって・・・。>テレサは種族の垣根を越えて自分を支えてくれる人々がこんなにも居る事が
嬉しかった。

「しかし、このままでは行かん! この馬鹿げた戦いを終わらせねばならない!」テレサはキッと表情を引き締めると
"輪廻の雷" を取り出した。

ドガーラはそれを見て驚いた、いや "輪廻の雷" を取り出した事にでは無い、彼が驚いたのはその数だった。

その数は四つ、テレサはその内の三つを小さく縮めると指輪の様に左右の指にはめた。

そうすると、"輪廻の雷" には見えず単なる綺麗な光輝く指輪にしか見えなかった。

テレサは一つ残った "輪廻の雷" を自分がくぐれる大きさに広げると中に身体を押し込もうとした。

「テレサ様、どこへ行かれる御積りですか?」ドガーラはテレサの行動に嫌な予感を持ったのだ。

「決まっておる! この無駄な抗争をやめさせなければならない!」テレサは何を判り切った事を聞く?と言うそぶりを
見せた。

「テレサ様、貴女がここから退去して頂ければこの戦いは自ずと収まります。
彼等は貴女の脱出の為に奮闘しているのですよ!」テレサの身勝手がドガーラは許せなかった。

「妾がここを黙って立ち去れば確かに今行われている戦闘は収まるかもしれない。 
しかし、ガミラスの方はともかく、そちやナーカスは大帝、いやサーベラーの詮議を受けるだろう、何しろ仇敵ガミラスと
手を組んだのみならず旗艦を合同で攻撃したのだからな。」ドガーラはテレサが一歩先を読んでいる事に驚きを感じた。

「妾はこれより、この艦の艦橋に戻る、そこで大帝と交渉して来る! そちも駆逐艦で早々に退避せい!」
テレサの行動は大胆だった。

二の句が継げずに立ち尽くすドガーラを尻目にテレサは "輪廻の雷" をくぐった、その時であるドガーラも床を
蹴って跳び 、"輪廻の雷" が閉じ切る前に自分も "輪廻の雷" が作る空間跳躍回廊に飛び込み消えて行った。

**************************************************

「旗艦の直営艦隊はどうした? 何処で何をしている!」サーベラーは艦橋に怒鳴り込んで来た。

「はぁ、それが一隻も連絡が付かない有様でして後方に待機している船団護衛艦隊をこちらに廻す様、手配中です。」
艦長がこの状況にも冷静さを失わない態度でサーベラーに応えた。

「致し方無い、早うせい!」艦長の平静な有様にサーベラーは気押されたが、それを周囲に知られたく無かったので
自らも平静」を装った。

「慌てるで無い! ゆっくりで良い、ゆっくりでな。」艦橋に艦長達の知らない声が広がった。
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<テレサ・テレザート、まだ艦内に残っていたのか・・・。>艦橋の中が騒然とする中、サーベラーはその声の主が誰だか
解った。

「姿を現せ! 卑怯だぞ!」サーベラーは大声で呼ばわった。

「そんな大声を出しては喉を痛めるぞ、サーベラー殿、場所を変えよう、ゆっくり話せる場所でな。」テレサは抜け目無く
サーベラーを一人にする事を画策した。

「 "謁見の間" が良かろう、ついて参れ、どうせ大帝陛下にも話を聞いて頂く積りであろう?」サーベラーが再び罠に誘った。

「宜しいですわ。 大帝の御前で話合い、同意致します。」テレサは殊勝に応えたが、彼女は油断なく目配せをして
ドガーラに斥候を命じていた。

ドガーラはその意を無言で酌むと影の様にその場から走り去って行った。

**************************************************

「こちらが、兵を引く条件は二つ、一つ目は今回、妾の救出に尽力したガトランティス人とその部族の詮議を行わない事。
もう一つはガミラスの支配圏への侵攻を止める事だけです。」テレサは大帝がとても呑むとは思われない条件を
突付けた。

「何を馬鹿な、お前とお前の仲間に残されているのは無条件降伏の道だけじゃ!
この旗艦たる超巨大戦艦に僅かばかりの傷を負わせたからと言って調子に乗るで無い!」サーベラーはテレサの
尊大な態度が許せなかった。

サーベラーは衛兵を呼び、テレサを取り押さえようとしたが、何か様子がおかしいのに気が付いた。

"謁見の間" を守る衛兵の気配が無いのである、テレサが身の安全を図る為に何かしたとしか思えなかった。

「だらしない者共だ。たった一人の間者に惑わされて衛兵共は皆倒された。サーベラーこれはお前の失態だぞ」尊大な
声が闇の奥から響いて来た。

「ははぁ、大帝陛下、お叱りは後で受け賜ります。ですが今はテレサ・テレザートとの交渉中です。今しばらくの御容赦を
賜りたく存じます。」サーベラーは冷や汗をかいていた。

大帝は衛兵と間者の闘争を知っていた、それは彼がこの部屋に居た事を意味する。

この部屋は "謁見の間" としての性格上、監視カメラも盗聴器も仕掛けられていない、大帝が闘争を知っていると言う事は彼が直に見聞きしたと言う事だ。

<良く闘争に巻き込まれ無かったものだ。>サーベラーは大帝の胆の太さ鋭敏な判断力に感心した。

**************************************************

「テレサ・テレザートよ、停戦に関するそちらの条件は判った。しかし、別に我が方はそち等と停戦しなければならない
理由を思いつかんのだが・・・。」大帝が尊大に告げた。

「陛下! この様な成り上がり者と言葉を交えては成りませぬ!」サーベラーは自分抜きで交渉が進むのが
許せなかった。

「良いではないか、それにここにおわすはセジャード族、第二王女レティファン・クエシャザードその人だぞ、決して
下賤の者では無い、十分立派にお前の代わりは務まると儂は考えて居るぞ」そう言って大帝はサーベラーの貌を
青ざめさせた。
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<陛下、私を捨てるとおっしゃるか!>サーベラーは今まで大帝に尽くして来た日々は何だったのかと悔し涙を流した。

「案ずる事は無い!サーベラー殿、妾は大帝の下僕になぞ成りはしない。」テレサは手にした "輪廻の雷" を頭上高く
放り投げた。

「サーベラー殿、本艦の左舷、前方よりの空間をモニターに映し出されよ!」テレサの指示に誇りを傷つけられた
サーベラーは何か言い返そうとした。

しかし、大帝は右手を挙げてサーベラーを制止しテレサに許可を与えた。

「良い! 面白い余興、楽しみにしておるぞ。」大帝は不敵に笑った。

「ではお言葉のままに!」テレサは左手薬指にはめていた別の "輪廻の雷" を外して先程投擲し空中に浮かんだままの
"輪廻の雷" の中央めがけて放り投げた。

すると後から投擲した "輪廻の雷" は既に空中にあった "輪廻の雷" の中央をくぐり、空間回廊を抜けて先程テレサが
指示した空間に空間跳躍により出現した。

大帝の前、謁見の間の奥にある巨大なスクリーンには小さく光る "輪廻の雷" が確かに映し出されていた。

「何をしようと言うのか? レティファン姫よ。」大帝の言葉にテレサは応えず、スクリーンの真下に移動して膝を着き、
最敬礼をした。

「御覧あれ! 我が力の一端を!」テレサはそう叫ぶと一端、上に挙げた両手を合わせ、次に勢い良く両手を左右に
伸ばした、すると指輪大でしか無かった二つ目の "輪廻の雷" は大きく広がり傍にあったククルカン級駆逐艦の残骸を
包み込んだ。

次の瞬間、猛烈な閃光が走り、その残骸は綺麗さっぱりと消えていた。

「・・・。」あまりの事に大帝もサーベラーも言葉を失った。
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「今の技はどんな目くらましか!説明せい!」サーベラーは恐れを打ち消そうとするかの様に呼ばわった。

「静かにせい! サーベラー、丞相らしくしかとと構えよ!」流石に大帝は落ち着いていた。

「姫、そなたの力は違う物質世界とこの世界の間に回廊を開けるのだな。」大帝は物理学にも堪能だった。

「そうです。 妾の操る "輪廻の雷" は本来この宇宙の中だけで空間跳躍を行う回廊を開く物です。
しかし、ある時偶然に "負の物質界" に回廊が繋がってしまったのです。
妾はその座標を記憶しておき、必要に応じてその世界との間の回廊も開ける様にしたのです。」テレサは言葉を選んで
説明した。

<それはこの超巨大戦艦の中に反物質の奔流を呼び込む事が出来る、と言う事か!>さすがのサーベラーもテレサの
能力に戦慄した。

「大帝陛下、貴方々に取っても停戦した方が良い理由、お判かり頂けたでしょうか?」テレサは自信に溢れた言葉を
告げた。

「小賢しい、その程度の能力、陛下が恐れると思ってか!」再びサーバラーが吠えた。

「確かにこれは堪らんな・・・。しかし、我等もそちらの条件を鵜呑みにする訳にはいかん、こちらにも体面があるのでな。」
大帝はテレサとの交渉に乗って来た。

**************************************************

<これがガトランティスの長が指揮する旗艦だったのか・・・。>メルダ・ディッツはそのあまりにも巨大な艦影に、
今まで闇雲に戦っていた自分達が愚かに思えた。

しかし、テレサ・テレザートはそのガトランティスの長、大帝と交渉して停戦に持ち込んだのだ。

<底の知れないお人だ。>メルダはテレサの実力の強大さを思った。

メルダはテレサの人と成りを、僅かな接触だったとは言え、予め知っていたからこそ、ドガーラの要請により、
ナーカス艦隊との戦闘を即座に止め、テレサ救出作戦に参加したのだ。

しかし、どの様な交渉をしたか解らないがあれ程激しかった超巨大戦艦の反撃は止んでいた。
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そしてメルダやナーカスにも停戦の要請がテレサからの直接連絡で来ていた。

「司令、我々の役目は終わりました。 即時帰還命令をお願いします。」ルルダ・メッキラ艦長が督促した。

「まだだ、この化物の行先を確認しない内は任務は終わったとは言えん!」メルダは大帝を全く信用して居なかった。



                                         198. ”大義”の”甲冑(よろい)” ー(16)→この続く
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# by YAMATOSS992 | 2016-02-27 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(0)
 <しめた! メルダ殿、ナーカス殿、感謝しますぞ!>心の中で大帝の注意を引付けてくれている盟友達に感謝した
ガルダ・ドガーラは旗艦防衛の為出撃し、ガラガラに空いた駆逐艦用船着き場に自分の駆逐艦を止めた。

申し訳けばかり駐在していた衛兵も着いたのがククルカン級駆逐艦で降りて来たのがガトランティス人だった為、
安心したのか、形ばかりの誰何でドガーラの率いる小隊を通してくれた。

「ドガーラ様、テレサ様の行方はどうやって確かめる御積りですか?>部下の一人が訊ねた。

「なあに、あの恐れを知らない "姫様" の事だ、我々に合流出来なかった時点で脱出の方針は捨てたはずだ。」
ドガーラは不敵な笑みを浮かべた。

「では、我々は何処に向かえば良いのですか?」別の部下が不審な気持ちを表した。

ドガーラは手書きの旗艦の略図を広げると艦橋を無言で指差した。

彼には部下達の息を呑む音が聞こえた様な気がした。

「心配するな、ここに行くのは俺一人だ、お前達はここに残って退路を確保して欲しい。」ドガーラの作戦は決して
無茶なものでは無い、テレサは個人用空間跳躍装置、"輪廻の雷" を持っている、ドガーラはテレサと合流出来
次第、"輪廻の雷" でテレサと共に空間跳躍して自分達の駆逐艦に戻れば良いと考えていた。

かえって部下達が居ると空間跳躍に手間取り脱出が失敗する可能性が高いと判断したのだ。

それより部下達は寡兵とはいえ、駆逐艦発進・着艦口を首尾している衛兵群を制圧し、脱出の足となる駆逐艦を
守るべきなのだ。

ドガーラの作戦を理解した部下達はドガーラと時計を合わせると船着き場の各所に散っていった。
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部下達が着・発進口に繋がるエア・ロックに消えたのを見届けるとドガーラは意を決して艦橋を目指し通路を走り始めた。

**************************************************

「ええい! まだ敵艦隊は殲滅出来んのか! この艦の巨大砲は殲滅戦艦メダルーサの備砲と同じ物だぞ! ”雷鳴”の
ゴラン・ダガーム如きが敵艦隊を殲滅したのに何故、本艦はそれが出来ぬ!」サーベラー丞相は猛り狂っていた。

しかし、殲滅戦艦の主砲は火炎直撃砲、巨大砲のエネルギーを空間跳躍させて選んだ敵に直接ぶつける兵器である。

砲身があさっての方向を向いていても跳躍終了点の座標が敵艦に合って居さえすれば命中するのである。
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反対に旗艦の巨大砲は口径こそ大きく発射出来るエネルギーも莫大であるが、そのシステムは通常の火砲と
なんら変わりが無く、射線を敵艦に正しく向けなければ決して命中は覚束ない、また砲塔の旋回速度も巨大であるが
故に遅く、素早く跳び廻る敵艦に追従出来ないのだ。

その事を理解しろと言うのは軍事の専門家では無く、兵器に精通していないサーベラーには無理な注文であった。

**************************************************

<ドガーラ殿、テレサ様救出はまだか!こちらは "自在雷" 放出用のエネルギーがもう尽き掛けている!>ナーカスは
今だ成らぬテレサ救出に痺れを切らしていた。

「自在雷に廻せるエネルギーは底を尽きました!」機関部長が冷徹な報告をした。

「航法士、慣性航行に切り替えろ! "自在雷" を含め砲撃を絶やすな!」ナーカスは航行を止めても火力は絶やさない
方針だった。

慣性航行に切り替え、等速で移動するナーカス艦隊は幾ら火力を維持していても超巨大戦艦の巨大砲にとって
止まっているも同然の良い目標だった。

超巨大戦艦の巨大砲がゆっくりと廻り、ナーカス艦隊にピタリと照準を付けた。

<俺の武運もここまでか・・・。>ナーカスはこれまでの苦しい戦いの数々に想いをはせた。

しかし、次の瞬間、ナーカス艦の艦橋・メインモニターにはガミラス艦の姿が大写しになり、大帝の超巨大戦艦の姿は何処にも見えなかった。

<・・・。>事態の見えないナーカスに向けて言葉を放ったのはメルダ・ディッツ大佐であった。

**************************************************

「ナーカス艦隊、高機動戦闘を止め、慣性航行・戦闘に入りました。」探査主任が報告した。

<むぅ、航行エネルギーまで火力に廻さなければならない位、エネルギーが欠乏して来たか!>メルダは事態が
深刻な物になって来たのをひしひしと感じた。

<このままでは自滅する・・・ここは一端、距離を取って艦も兵も休ませなければならない!>メルダは冷静に状況を
分析した。

「短距離・ゲシュタム・ジャンプ! 超巨大戦艦とナーカス艦隊の間に割って入れ、ジャンプ終了後、ゲシュタム・
フィールドを全力で展開、極力広い宙域を防御し、味方艦隊の撤退を援護する!」メルダはにとって
"古への星の海往く船乗りの約定" を交わした者はその出自を問わず仲間だった。

『 "刃雷" の戦士、ヨダム・ナーカス殿、死ぬのはまだ先です! 我等は "迅雷" の戦士、ガルダ・ドガーラ殿から託された
役目を果たし終えておりません!」メルダはナーカスに無駄死を戒めた。

その間、メラ・ドーラⅡ(ア・ルー)は超巨大戦艦の巨大砲から送られる破壊ビームを一身に受けてナーカス艦隊の
楯となっていた。
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<ふっ、"イルダの贈り物" ?が役にたったわ!>メルダはバラン星域でクリピテラ級駆逐艦の主機関を三基回収する
つもりだったが、結局二基しか回収出来ず、残りの一基はクリフ・ラッド大尉が持って来てくれた、"イルダの贈り物" 、デストリア級重巡の主機関を装備した。

おかげでガイデロール級の艦体にそれが収まりきらず外部に出っ張ってしまったので第二砲塔様のカバーを付けざるを
得なかったのだが一基だけとは言え、出力が大幅にアップ出来たのは僥倖だった。

この余力が巨大砲の猛威からメラ・ドーラⅡ(ア・ルー)自体だけで無く、ナーカス艦隊まで含めて防衛出来たのだ。

「メルダ殿・・・。」ナーカスはメルダの身体を張って自分達を艦隊ごと守ってくれた事に言葉を失った。

「何をグズグズしている! 早く距離を取って安全を確保しろ! 態勢を整えるのはそれからだ!」メルダの強い言葉に
ナーカス艦隊は次々と空間跳躍して安全圏内に撤退して行った。

「我々も一度撤退しますか?」ルルダ・メッキラ艦長がメルダの指示を仰いだ。

「いや、我々まで撤退してしまったら敵の注意を引付ける役が居なくなってしまう、今の状況でそれはまずい!」メルダは
更に大胆な作戦を告げた。

「敵艦の至近距離に本艦をゲシュタム・ジャンプさせる。
敵の火砲は図体が大きい分、至近距離にいる艦を目標にするのは難しいはずだ!」メルダはメラ・ドーラⅡ(ア・ルー)が
指揮戦艦である事を最大限に利用するつもりだった。

自艦が敵との距離が近すぎて攻撃出来ない場合でも配下のデストリア級重巡戦隊は自由に誘導出来る、
また、ナーカス艦隊の撤退で開いてしまった穴は "反射遊星砲" や "光の花園" で補う考えだった。

**************************************************

<なんと大胆な奴だ! ここまで接近されてはこちらの火砲は殆ど役に立たない!>超巨大戦艦の艦長は舌を巻いた。

巨大砲より大分小ぶりの口径を持つ輪動砲だけがメラ・ドーラⅡ(ア・ルー)に直撃弾を与える事が出来たが、短時間なら
巨大砲のビームすら弾くゲシュタム・フィールドを貫くには及ばなかった。

<なんとしぶとい、巧妙な戦い方だ! ガミラス恐るべし!>艦長は大損害こそ受けなかった物の、ブスブスと刺さって
来るヤブ蚊の様なガミラス艦の攻撃に次第に広がって来る損傷が艦長の不安を煽り、艦橋にいた全員の注意を艦外に
引付ける事に成功していた。

<メルダ殿、ナーカス殿、ここまで頑張ってくれるとは! 感謝しますぞ!」ドガーラは艦内集中情報管理室を制圧、
艦内監視カメラ網のネット・ワークに割り込んでテレサを捜していた。

衝撃音と共に艦が大きく揺れた,メルダの率いるガミラス艦隊の攻撃が超巨大戦艦の比較的弱い部分に命中したのだ。

ドガーラの居た情報管理室の中は長年部屋の隅や機器の上や後ろに溜まった埃が舞って一寸先も
見えない状況になった。

やがて視界が開けてくるとドガーラの目の前に信じられない人がいた。

「テレサ様、ここで一体何をしておられるのです?」ドガーラが不審そうに訊ねるとテレサは無言のまま、照れ隠し笑いをした。

彼女は情報管理室の天井付近に走っている電路や光ファイバー回線を収めた配管の上に潜んで情報収集を
していたのだが先程の被弾による衝撃で床に振り落とされてしまったのだ。

幸い、後から来たドガーラが情報管理室を有無を言わせず制圧してくれていたので改めて闘う必要は無かった。

「来たか、私なぞ放り出して置いても良かったのだが・・・。」テレサは話をそらす様に言った。

「そうは行きません! 貴女を "改革の星" と定め、慕っている者が大勢います! 簡単に見捨てる訳には参りません! 貴方はガトランティスだけで無くガミラスからでさえ有望な "指導者" として期待されているのです。」ドガーラの言葉に
テレサは船外監視モニターの一つに走った。

そこにはメルダ艦隊、デーリアン少将率いる "殲滅回廊" 守備隊残党、そしてヨダム・ナーカスの艦隊が船縁を揃えて
超巨大戦艦を攻撃している様が映し出されていた。

「ガミラス艦隊の総司令はメルダ・ディッツ大佐、ガトランティス艦隊の指揮官は "刃雷" のヨダム・ナーカス、私の古い
友人です。 皆 "古への星の海往く船乗りの約定" に従って集まった友軍です。 私がこの艦に忍び込み、貴女を
助け出すまでの間、時間を稼いでくれているのです。」ドガーラはテレサの質問を待たずに告げた。







                                       197. ”大義”の”甲冑(よろい)” ー(15)→この続く

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# by YAMATOSS992 | 2016-02-20 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(0)
 艦長! 戦況はどうじゃ? この超巨大戦艦 "ガトランチス" は無敵であろう、ガミラス艦隊など幾ら数が居っても
相手にはなるまい?」サーベラー丞相は得意げだった。

「はぁ、確かに本艦は無敵なのですが、敵艦隊は一度、戦場を離れ、改めて空間跳躍で後に続く普通艦艇や輸送船団を
攻撃して来ます。その損害は拡大する一方です!」艦長はサーベラーの顔色を窺がいながら応えた。

「くそっ、ガミラスめ、悪賢い奴!」サーベラーは大帝の旗艦 "ガトランチス" を楯として用いて配下の艦艇や輸送船団の
"殲滅回廊" 通過を支援しようと考えていたのだ。

しかし、超巨大戦艦だけ "回廊" を抜けさせ、後に続く艦艇や輸送船団が "回廊" 内で動きが取れく為って居る内に
一撃離脱攻撃を掛けて来るガミラス艦隊に "楯" の意味は無くなってしまったのである。

しかも旗艦がその大量に持つ火力を後方のガミラス艦隊に向けて発砲する事は出来なかった。
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何故なら超巨大戦艦の後方火力だけでも集中射撃を行えばガミラス艦より、動きの鈍い輸送船団などひとたまりも無く
宇宙の藻屑となってしまうのは明らかだった。

<超巨大戦艦の "火力" さえあれば "回廊" 通過など朝飯前だと言ったのは誰じゃ!>サーベラーは幕僚達の読みの浅さが腹立たしかった。

幸いな事にガミラス艦隊の規模はあまり大きく無く、戦局は膠着状態になったが、どちらの艦隊の引くに引けなく
なっていた。

**************************************************

「何だか妙な気分ですね。 迎え撃つべき敵艦と艦隊を組んで航行する事になろうとは思っても見ませんでした。」
ルルダ・メッキラ艦長が呟く様に言った。

「確かにあの巡洋艦隊は敵だ、しかし、あの赤い駆逐艦は我等を次元断層の咢から救い上げてくれた恩人の艦隊の
所属艦だ。 その男の "盟友" の艦隊となれば話は別だ。」メルダは "迅雷" のガルダ・ドガーラの言葉を信じてテレサ・
テレザートの救出作戦に参加したのだ。

<テレサ・テレザートの率いる一派はガミラスのみならず宇宙にあまねく存在する文明と平和共存する事を
目指していると聞く、この作戦はユリーシャ様の望むこの紛争の平和的解決に繋がる重要なものだ。 "呉越同舟" と
言う所か・・・。>メルダはヤマトに正式に乗艦していた時に教わった地球の古いことわざを思い出した。

「ナーカス殿、メルダ殿、私はこの艦で "大帝" の旗艦に接近を試みる、その間、旗艦の注意を引付けて置いて
貰いたい。宜しいか?」ドガーラからナーカスとメルダに作戦計画が伝えられた。

「しかし、テレザート様が、捕縛されていたら脱出は不可能なのでは無いか?」ナーカスはテレサの実力を目の当たりに
した事が無く、その分、救出に懐疑的になっていた。

「ナーカス殿、テレサ・テレザート殿は尋常では無い胆の据わったお方、心配するには及ばない。 
それより貴公の方こそ自分の部族を裏切ってしまう事を悔やまないのか?」メルダはナーカスの本心を確かめたかった。

「何の! この作戦は "古への星の海往く船乗りの約定" に基づき為される物、それも旧友、
"霹靂" のガルダ・ドガーラから要請された物でもある! だから、ここで、この "約定" を無視すれば
ガトランティスだけでは無く "星の海を往く船乗り" 全部の笑い者になってしまうわい!」ナーカスの目は
一途に前を見て居た。
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**************************************************

「味方は後、何隻残っているか!」デーリアン少将が悲痛な叫びを上げた。

「後、一艦隊、十隻です! 残りは全て撃破されました。」専任参謀が報告する、<撤退の時機を逸したか・・・。>
デーリアンは己の不明を恥じた。

「通信を傍受! 味方の増援です! 間に合いました!」通信士が喜びの声を上げた。

「何! 何処の部隊だ! こんなに早く回せる部隊は無いはずだが・・・?」デーリアンは誰何する様、通信士に命じた。

「ガミラス皇室付き遊撃艦隊、司令官はメルダ・ディッツ大佐です! 映像をそちらに廻します!」通信士は受信映像を
艦橋メイン・スクリーンに映し出した。

「援軍感謝する! ディッツ大佐、これより貴官は私の配下に入って貰う、まず・・・。」そこまで言ったデーリアン少将は
メルダがまったを掛けているのに気付き眉を寄せた。

「デーリアン少将閣下、確かに貴官は私より上位であるが、艦隊そのものの "格" は本艦隊の方が上になる、
申し訳けないが指揮権はこちらにあると理解して頂きたい。」メルダはデーリアンの怒りに油を注ぐ様な事を平然と言って
のけた。

「皇室直属の艦隊だからか! 今まで我々前線部隊が血を流して祖国を防衛している時、後方で安寧としていた
お前らの言う事を今更聞けと言うのか!」デーリアンには "皇室直属" と かつての "親衛隊" が同じ様なものにだと
感じられていた。

「では我が艦隊の力、お見せしましょう! "ゲシュタム・アタック" 開始!」メルダが自信たっぷりに宣言した。

ボロボロになったデーリアン艦隊の直近にデストリア級重巡九隻からなる艦隊が現れ、超巨大戦艦に一撃を掛けるとすぐさま再度ゲシュタム・ジャンプをして消えた。

その艦隊行動はまるで奇跡を見るようだったが、デーリアン達が驚いたのはメルダの指揮・戦艦が放った第二撃だった。

メルダの旗艦、"メラ・ドーラⅡ(ア・ルー)" の第一砲塔から発射された330mm陽電子ビーム三条は互いに捩り合わさって
一条のビームになると超巨大戦艦の上方で二回屈曲してその機関部に突き刺さって行った。

< これは "光の花園" ! 皇室・巡航戦艦にだけ装備された秘密兵器・・・、それを使う事が許されているとは余程、
ガミラス皇室の信頼が厚い人物の証明か!。>デーリアンはメルダの姓が "ディッツ" である事を思い出していた。

「失礼しました。 "光の花園" を託されているお方の命はガミラス皇室の命、喜んで従います。」デーリアンは格下である
メルダの指揮下に入る事を快諾した。

「指揮権の委譲、感謝する。 第一の命令は敵巨大戦艦の足止めだ、第二の命令は後方に展開している
ガトランティス軍、一般艦艇は放置せよ!」メルダの命令はデーリアン達には余りにも以外だった。

そして彼等の驚きを倍加させる出来事が起こった。

「近傍空間に重力振多数観測! ガトランティスの艦隊です!」空間跳躍にしろ、ゲシュタム・ジャンプ(ワープも)にしろ
空間を無理矢理捻じ曲げて長距離を跳び、光速を突破する技術だ、そこには空間を揺さぶる重力振はつきものだった。

「何! 戦術士官、重力振ポイントに主砲照準合わせ、敵が態勢を整える前に殲滅す・・・、」そこまで言った所でメルダが横槍を入れて来た。

「命令したはずだ! 我等の目標は超巨大戦艦のみ! 他の艦艇への攻撃は禁じる!」メルダは怒りで鬼の様になった
形相で再度、命令を徹底した。
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「ゲシュタム・アウトして来た艦隊は巡洋艦隊です。既に攻撃態勢を取りつつあります。 しかし、・・・。」観測士が困惑した
表情で言葉を濁した。

「しかし、何だ! 報告は簡潔にしろ!」デーリアンは珍しく言葉を荒げた。

「敵艦隊の目標は我々ではありません。」戦術士官が状況を分析して見せた。

「何?」デーリアンは艦橋のメイン・スクリーンに目を凝らした。

新たに戦場に現れた巡洋艦隊は前方に集中出来る砲火を全て超巨大戦艦に向けていた。

更に後部からエネルギー球を打ち出すとそれを使って本来死角になる後部砲塔のビームも前方に向けて屈曲させ、
火力を倍増、今までのガトランティス軍の巡洋艦とは比較にならない火力を見せていた。

「 "呉越同州" さ。」メルダが悪戯っぽく笑った。

「ごえつどうしゅう? 何の事です?」デーリアンは戸惑いを隠さなかった。

"呉越同州" これは中国の故事の一つである。

詳しい説明は省くが要するに『仲の悪い者達同士でも難局に出会えば協力する』と言う事。

これはガミラスとガトランティス双方が両立出来る体制を作り宇宙に平和と安定をもたらすための闘いだった。

**************************************************

同時刻、超巨大戦艦に潜伏しているテレサは何とかドガーラと連絡を着けようと "輪廻の雷" を操ってあちこちに
空間回廊を開いて見たがどの回廊もその先に開けているのは宇宙空間ばかりで中々ドガーラと合流する事は
叶わなかった。

一ヶ所に長居すると発見される恐れがあるのでテレサは居場所を変えようと、艦内に空間回廊を開いた。

艦内の別の場所に空間回廊が繋がった事を確認するとテレサは "輪廻の雷" が空間を切り取った円の中に身を潜らせようとして思い止まった。
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何か嫌な感覚が走ったのをテレサは感じて居た。

<何が違うのだろう・・・?>テレサは "円" を見つめた、そして普段とは違う事を見つけた。

それは円の縁を作っている "輪廻の雷" の色が普通の "黄色" では無く、少し"赤色" がかった色に輝いていた事で
ある。

テレサは手近な物をその空間に投げ込んでみようと思ったが生憎ここは機械室、やたらな部品を外すとどんなトラブルが
起きるか分からないと考えた彼女は別の物を投げ込んでみる事にした。

普通なら着衣の一部や上着などで済むが彼女が今、着ているのは "ビキニ・アーマー" である、布地の部分など殆ど
無い、しかも胸当てはその裏に生命維持装置が仕込んであって何時真空の宇宙に投げ出されるか、分からない
今の状況では失う訳には行かない装置だった。

仕方なくテレサは "ビキニ・アーマー" の下穿きに着いて居る飾り布を外して丸めると怪しげな空間回廊の入り口の投げ込んだ。

小さな布の塊がゆっくりと弧を描いて向こうの空間に消えた、と、凄まじい光の洪水が溢れ、消えた。

<反物質空間、こちらと全く同じ物体が同じ形で存在しながらその電荷は正反対の空間、立ち入れば私も光に変わって
いただろう・・・気付いて良かった。>テレサはこの空間座標を記憶し、別の場所に回廊を開き直すとまた何処かに消えて
行った。



                                       196. ”大義”の”甲冑(よろい)” ー(14)→この項続く


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# by YAMATOSS992 | 2016-02-13 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(0)