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宇宙戦艦ヤマト前史

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宇宙戦艦ヤマト登場前の地球防衛軍の苦闘を描きます。

 サーベラーは謎の通信の回線が開くのを待ったが通信回線が混雑しているのか、問題の回線は仲々繋がらなかった。

<”旧知”の間柄・・・か。 私の”過去”に”良い思い出”なぞ無い・・・。>サーベラーは今の地位、ガトランティス帝国の
丞相に登り詰めるまでに行った権力闘争の数々を思った。
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<まてよ? 権力闘争の相手は全て確実に葬ったはず・・・。 今更、生き返って来るはずも無い・・・。

ではその前、私が”苦界”に身を沈めていた”小娘時代”の知り合いか?>サーベラーは一番思い出したく無い少女
・時代の事を思い出してしまった。

 ガトランティス帝国は元々”男社会”ではあったが大帝が帝国を築くと軍が拡張され、従軍する兵士は戦闘に耐える者と
して男が求められ、女は元々あった職業からも追われ、軍人達を楽しませる”サービス業”、”苦界”に生きる糧を求める
しか無かった。

今でこそガトランティス帝国の丞相として数多の将軍(当然、全て男性)を従え思うがままの権力を欲しいままにしているサーベラーだが、その過去には卑しい兵士に身体を委ねなければ生きていけない時期があったのだ。

<あの時代を知る者は誰であろうと生かしては措けぬ!>サーベラーの瞳には業火の様な憎しみが宿っていた。

「回線、確保出来ました。 何時でも通信を開始し出来ます。」部下が回線・接続を報告した。

机上の小さな3D・ビュアラーがサーベラーの知らない少女の姿を映した。

「シファル・姉さま、お見かけする所、お元気で何よりですわ。」 しかし、その見知らぬ少女はサーベラーのファースト
・ネームで親しげに話しかけて来た。

「貴様は誰だ! 私にはお前の様な知り合いは居ない! 何の目的で私に近づく!」サーベラーは相手の落ち着きに
返って苛立ちを募らせた。

「あらあら、あれからまだ8(パクート)年しか経っていないのにもう私の事、忘れてしまわれたのですか? 

レティファンは悲しいです。」”テレサ・テレザート”は親が付けた俗名(レティファン)の方を名乗った。

「レティファン? レティファン・クエシャザード”姫”か! この親不幸者め! 一体、今まで何処を放浪していたのだ!
この”婚儀”の重要性が判らんとは言わせんぞ! セジャード族にとってもガトランティス帝国の部族、No2になれるか
どうかの瀬戸際なのだからな!」サーベラーは吠えた。

「No2って事は頭に絶対的頂点の大帝をいだき、その下にサーベラー、貴女、やっとその次って事でしょ。何の面白味も
無い地位だわ。」”テレサ”はズバリとこの”婚儀”の問題点を炙り出してみせた。

確かにサーベラーの言う通り、No.2に成れるかもしれない、しかし絶対権力を振るう暴君がいる以上、No.2でも
No.100でも頭を押さえつけられる事に変わりは無かった。

いや、却って権力闘争が激しい頂点付近の地位は”安らぎ”を捨てなければ守り切れないものだ。

<そんな”地位”、頼まれたって着いてやるものか!>”テレサ”は内心そう思ったが、ここはまず、友好的に話を進める
べく、二人の8(パクート)年前の思い出を語りだした。 

**************************************************

”姫”の語る過去を聞く内にサーベラーは少しづつ封印した己の”過去”を思い出していた。

そう、彼女が思い出したくない”苦界”にその身を沈める以前の記憶以前の記憶を。

彼女はシャザード族の王宮付きの”姫”君専用の教育係、兼・身の回りの世話をする役目を与えられていた。

もう長女の”姫”は成人していたので彼女が面倒を見るのは専ら第二王女の”レティファン姫”だった。

サーベラーも”姫”より年長であるとは言え、”少女”である事に代わりは無かった。

当然、”姫”に対する”教育内容”など知る訳も無く書庫で過去の文献を漁ったり、ボ・ルドウに”姫に対する特別講義”を
頼んだりと己の足りなさを補う事に必死な日々であった。

「陛下、宜しいのですか? あの者は”王道”が何かも知りません。 ”姫”の教育係としては余りに未熟かと
思いますが・・・。」王宮の高官の中にはサーベラーの事を余り快く思わない者も多かった。

「よい! これで良いのじゃ、”姫”は”帝王学”を着実に学んでおる!」 ”姫”の父・王 グエゼ・クエシャザードは
そんな讒言などには取り合わなかった。

だが、サーベラーを獅子身中の虫と考える一部、部族・幹部は彼女の排除の機会を窺がっていた。

そしてその機会は意外と早くに訪れた。

直属・配下の五部族の内、三部族が結託して王家に反旗を翻したのだ。

この混乱はシャザード族を中央から追い落とすに十分な力があった。
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混乱が収まった時、中央政権を握っていたのは最早シャザード族では無く、新興勢力の”大帝”であった。

そしてサーベラーは王家の人々が落ち延びる時に混乱の内、逸れてしまい、一人で生きて行く必要上、安酒場の扉を叩かざるを得なかったのだ。

**************************************************

「苦労されたのですね。 シファル・姉さま・・・。可哀想。」テレサは心から同情した。

「儂には確かな”今”がある! 安い同情はいらん!」サーベラーは通信用の小型モニターを掴むと床に叩き付け様と
した。

「待って、まだ話さなければならない事があるわ、通信機を壊さないで!シファル・サーベラー!」テレサはサーベラーの
激昂に水を掛けた。

「フム、確かにいささか情に走りすぎたな。 ところでレティファン・クエシャザード姫、お前は今何処にいる、”大帝”への
輿入れよもやいぞんがあると言うのではあるまいな!」サーベラーは小型ビュアラーの画面を顔に引き寄せて凄んだ。

「シファル姉さま、私は改名しました。 最早、レティファン・クエシャザードではありません。 当然、シャザード族の籍も
離れております。」テレサはズバリと本題に切り込んだ。

「ほう、何を世迷言を・・・。 幾ら名前を変えた所で”お前”は”お前”だ他の何者出も無いさ。」サーベラーは”姫君”の
気紛れには付き合い切れんと言った態度を示した。

「私がシャザード族の籍を離れた以上、この婚儀、政治上の意味は無くなったと私は判断しますが、そちらにもそちらの
体面がおありでしょう、一度、”大帝”御方に御目見えする位の譲歩はするつもりです。」テレサは”大帝”の正体に迫る
計略を見透かされない様、注意して発言した。

「ほう、嫁ぎ先の夫の姿を見たいとな。何様のつもりじゃ!この小娘が!」サーベラーは一喝したが、
最早、”使命の神託”を得ていたテレサは決して怯まなかった。

「良人となるかもしれぬ殿方の事を少しでも知りたいのが”女心”と言う物です。せめて御顔位拝見させて頂きたい物
ですわ。シファル姉さま。」

二人の間には女の意地が見えない業火となって渦巻いていた。

「良い! サーベラー、レティファン・クエシャザード姫に合おう、段取りを付けよ!」何処からかこの通信を傍受していたの
であろう、”大帝”の命令が上方から降って来た。

「”大帝”、こんな小娘の申す事、聞くに値しません!」サーベラーはあくまで謁見に反対だった。
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「レティファン・クエシャザード”姫”、謁見を楽しみにしておるぞ、いや御身の”真の名”は”テレサ・テレザート”だったな。
ウワッハハハハ。」豪快な高笑いを後に残して”大帝”の気配は消えた。

「”テレサ(愛満る者)、テレザート(統治者)・・・テレサ・テレザート(愛もて統べる者)だと? ふざけおって!」
サーベラーは卓上小型ビュアーの画面を睨み付けたが最早通信は切れていた。


                                         186. ”大義”の”甲冑(よろい)” ー(4) → この項・続く

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# by YAMATOSS992 | 2015-04-11 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(2)
 ドガーラは大振りの”剣”を構え、ジリジリと横に動いて”テレサ”を誘った。

”テレサ”は手にした輝く輪、”輪廻の雷(イカズチ)”を正面の構えると左手で輝く輪を引き絞った。

するとそこにはドガーラの”大剣”に比べれば短いがそれでも並の剣と同じ位の長さの輝く”長剣”が現れた。

”輪廻の雷(刀剣・形態)”である。

<クッ、またしても”妖しの技”を・・・。>ドガーラはそれでも臆する事無く、”テレサ”に切りかかった。

<この”剣”、例え受けれたとしても振り切ってやる!>ドガーラは裂帛の勢いで”テレサ”に斬り付けた。

”テレサ”がそれを受ける、ドガーラが勝利を確信してニタリと笑った、が、しかし、”テレサ”はドガーラの剣を正面から
受け止めず、自分の剣を僅かに横に動かし、斬り付けるドガーラの剣の側面に打ち当て、その軌道を横にずらすと、
”テレサ”は自身の間合いに大胆にも踏み込み、その剣の切っ先をドガーラの顔の前に突き付けた。
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<ええい! まだ妖しの技を使いよるか!>ドガーラは心の内で舌打ちした。

「何か、己の敗北が納得出来ぬようじゃの、それでは納得いくまで掛かってまいれ。」”テレサ”はそう言うと剣を引き、
距離を取ってドガーラが構え直すのを待った。

しかし、再びドガーラは一撃後、またしても”テレサ”に刃を突付けられていた。

仕切り直す事、五度、負け続けるドガーラを見てられないと思ったのか、ついに回りを取り囲んでいた兵士の内から声が
上がった。

「ドガーラ殿、”テレサ・テレザード”様がお使いになっている技は”妖し”のものなどではありません! 
グタバ宙域に古くから伝わる伝説の剣技”アイン・デュライ”です!」その声の主はドガーラの副官、サヴァ・ビアだった。

「”アイン・デュライ”・・・だと?」 ドガーラは眼前に剣を構える”テレサ”が居るのも忘れて部下のサヴァ・ビアに
問いかけた。

”アイン・デュライ”それは地球語に直せば ”一番目の剣技”、”最高の剣技”とでも訳せば良いのだろうか?

それは相手の攻撃を受け流すと同時に自分の間合いまで一瞬で踏み込み相手を斬る攻防一体となった究極の剣技で
あった。

「”テレサ・テレザート”様は”アイン・デュライ”まで使いこなされるか・・・。

ならば、この”霹靂”のガルダ・ドガーラ、破れても”恥”は無い・・・!」ドガーラは大剣を捨てその場にひれ伏した。

**************************************************

「ドガーラ殿、何故、我等はお連れ願えないのですか! 我等はこのまま本国に帰還しても”失敗者”として”シファル・
サーベラー”丞相に罰せられるだけです!

どうか、”惨めな罪人では無く、”栄光ある革命者”の役割をお与え下さい。」”霹靂”のガルダ・ドガーラが指揮していた
”レティファン姫・捕獲艦隊に五隻いる殲滅戦艦・艦長達は強く同行を願った。

「皆の気持ち良く判っておる。 しかし、”テレサ・テレザート”様が歩もうとされているのは”棘薔薇の道”、貴様達が生きて帰れるか、保証は出来ぬ。  ここはガトランティス本国に還らず、”我等と大帝”の闘いがどうなるか、様子を見ていては
くれぬか・・・。」ドガーラの説得は歯切れが悪かった。

「 ”テレサ”様とドガーラ殿は”大帝”に挑まれると言うのですか! ”勝算”は在るのですか!」艦長の一人が素っ頓狂な
声を上げた。

「 ”勝算”など全く無い!」何時の間にか普段の貴賓服に着替えた”テレサ”が通信に割り込んで来た。

「それでも良ければ我に続け!」”テレサ・テレザート”の言葉は簡潔だった。

「 ”勝算の無い争い”をするなど愚か者のする事、”テレサ”様は”アイン・デュライ”を体得されていると聞き及びましたが、どうやらそれは”誤り”の様で御座いますな。」殲滅戦艦の艦長達は次々と通信を絶ってしまった。

確かに”アイン・デュライ”は強い、しかし単に強いから無敗の剣なのでは無く、その極意は勝てる相手としか戦わない事
であり、勝てないと判ったら躊躇いも無く逃げる事も辞さない兵法である事が一般にも知られていたからだ。

”アイン・デュライ”を習得した者が”勝算の無い戦”をするはずが無い、即ち”テレサ”は”アイン・デュライ”を体現出来て
居ないと艦長達は判断、”テレサ”を見限ったのだ。

**************************************************

「”テレサ”さま、本当に良かったので御座いますか?あの殲滅戦艦群は”火炎直撃砲”こそ使用不能になっていますが、五連装大口径徹甲砲を始めとして大部分の火力はまだ残して居ります。

このまま、こちらを攻撃してきたら侮れん戦力ですぞ!」ドガーラはまだ”テレサ”に”真の名”を預けて居なかった。

「ドガーラ殿、そなたの”真の名、私と共に”歩む”に相応しい物に選び直してはくれぬか。」”テレサ”には殲滅戦艦隊の
動向よりも重要な事があった。

「今の”真の名”は儂が”成人”した時に自分で決めた”名”で御座りまする。 簡単には変える訳には参りません。」
ドガーラは”テレサ”の申し出をきっぱりと断った。

「ドガーラ殿、そちは”真の名”を既に誰かと”交わして”おるのか?」”テレサ”はドガーラを鋭く見つめた。

「いやいや、滅相も無い、儂はこの歳まで独り身、そしてバル・バル族・滅亡以来、本当に心を許せる友にも出会わず、
今に到って御座る。 ”真の名”の交換なぞ思いも依らぬ事で御座った。」 ドガーラはうら若き女性に”真の名”を求めら
れた事の意味を考え、その事に戸惑いを感じた。

ガトランティスでは”異性同士”が”真の名を交換”するのは、”生涯の伴侶”を選ぶ時が大多数であったからだ。

「わらわは最早、”真の名の交換の儀”は既に一度行っておる、余計な心配はせずとも良い!」 ”テレサ”はドガーラの
肩を叩いて笑った。

<確かに儂より若い”将”は数多おる・・・か。>ダガーラは自分の歳を考えた。

「安心せい! わらわが一番初めに”真の名”を交換した者はテロンのヤマッテに乗っておる。 最早、数万光年の彼方を
テロンに向かって必死に航行しておるわ。 そして、”名”を交わしたは互いの”信義”を証かすためじゃ。
そこに”情”の入る隙は無いわ!」 ”テレサ”はそう言い切ったが、本心は島・大介に心を残していた。

「あのテロンのヤマッテとこの”ガウ・ルーガル”の見事な連携・作戦行動はそんな所に秘密があったので御座るか!」

ドガーラは”異星人”すら簡単に懐中に取り込める”テレサ”の能力に畏怖を抱いた。

**************************************************

<ええい! 遅い! ドガーラめ、何をもたついて居るのだ! 相手はたかが”小娘”一人だぞ!>事情を知らないサーベラーは心の内で毒づいていた。

シファル・サーベラーは”霹靂”のガルダ・ドガーラからの吉報を今や遅しと待っていたからだ。

セジャード族の”姫”を大帝の”側室”に迎えると言う事は他・族の”姫”の輿入れとは同じ”政略・結婚”でも全く意味が違うものであった。

何故ならセジャード族は本来、ガトランティスを束ねていた。 (だから彼等は”正統王家”を名乗っている。)

本来なら”武闘派”の大帝・勢力が台頭して来た時に、本来なら滅ぼされる可能性が高い部族であった。

しかし、彼等、セジャード族は航宙民族、ガトランティスの中心技術である”空間跳躍”の技に勝れており、大帝と言えどもそれを簡単には”奪う”事は出来なかった。

ガトランティスの軍艦はそれぞれの部族が元々あった軍艦を手本として建造していたが、機械と言う物は不思議な
もので”造る”事より、”維持”する事の方が難しく、その殆ど全てがセジャード族の”メンテナンス”を必要としていた。

このため、”殲滅・戦艦”と呼ばれる”火炎直撃砲艦”も発想は”大帝”のビーム砲の”射程距離”延伸方法だったが、
それを実現出来る技術力を持って居たのはセジャード族だけであったのである。

そして実際に二隻、建造されたメダルーサ級”殲滅型重戦艦”の内、メガルーダは対ガミラス戦で圧倒的な威力を示し
大帝を満足させた。
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最終的にはメガルーダはヤマッテと闘って沈んだがこれは艦の性能不足では無く、指揮官であるグタバ方面大都督
”雷鳴”のゴラン・ダガームに”戦略・戦術・眼”が無かった、つまり”運用”の問題とされたのだった。

当然、メダルーサ級”殲滅型重戦艦”はガトランティスの次期・主力艦艇となる事になったのだが、今までの艦艇とは
比較に成らない位、打撃力が高いので大帝としては裏切りを考えると保有を許す部族を絞り、更にそれのメンテナンスや
運用の技術を持っているセジャード族との距離を詰めたいと考えての”政略・結婚”だったのだが肝心の”姫”が輿入れの
途中で出奔してしまったので大帝(シファル・サーベラー)の思惑は大きく外れてしまった。

<全くあの”姫”は何を考えておるのか・・・? セジャード族の為にも大帝と姻戚関係を結ぶのは損になる事では
無いはずなのだが・・・? 若い娘の考える事は判らない・・・。>サーベラーは”姫は若いから愚か”と自分で考えて
おきながら自分は”若くても賢い”と信じている事に苦笑した。

デスク上のインター・コムが鳴った。

「何だ?」呼び出し音の音種から部下からの物である事を知ったサーベラーは簡潔に聞いた。

「それが・・・”テレサ・テレザート・・・”様からの通信です。」部下の報告は歯切れが悪かった。

「”テレサ・テレザート”だと? そんな御仁は預かり知らぬが?」サーベラーも訝った。

「はぁ、何でも古い”知り合い”だと申して居りましたが、やはり閣下の御知り合いでは無いのですね。 

直ぐに通信を切ります。」部下は自分の判断に間違い無かったと安心した。

「待て、この通信、誰に渡した回線か?」サーベラーは好奇心に駆られて言った。
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「”霹靂”のガルダ・ドガーラに預けた回線です。 しかし、相手はドガーラを名乗っておりません。」部下はサーベラーにとって興味深い事を言った。

「”霹靂”の戦士は敗れたのか? だとすればこの”謎の相手”の正体も想像が付く。

構わん、回線を開け!」サーベラーは部下に回線接続を要求した。

「しかし、こいつは閣下の”知人”を騙るなど、碌でも無い輩に違いありません。 相手になさってはいけません!」
部下は重ねて上司の気紛れを止めようとした。

「良い! 回線は幾重にも防御されて居る、通信だけでは何も出来ぬ。」サーベラーは自信たっぷりだった。

<それよりも既存の回線を使い、私の”旧知”を装うとは随分、大胆な奴だ、面白い・・・、それに私が私の”過去”を
知る者をそのままにして置くと思ってか!>サーベラーは不敵に微笑んで通信が繋がるのを待った。


                                         185. ”大義”の”甲冑(よろい)” ー(3) → この項・続く

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# by YAMATOSS992 | 2015-04-04 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(2)
 <クソッ、何処まで行けば艦橋に辿り着くんだ!>白兵戦なら、まだ、”歩”が有ると踏んで”ガウ・ルーガル”に接舷、
兵士を一個・大隊引き連れたドガーラは”ガウ・ルーガル”に乗り込んみ艦橋を目指したまでは良かった。
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しかし、一見、ドガーラの乗艦、”ダウ・ズォーダ”とこの艦、”ガウ・ルーガル”は同じ構造だと彼等は思っていたのだが、
艦内通路を歩む内、元の場所に戻ってしまったり、艦橋では無く、後部・格納庫に出たりと何時まで経っても目標の艦橋
には辿り着け無かった。

そして、何時の間にか、彼に付き従う制圧用の兵士は十数人にまで減ってしまっていた。

敵兵はおろか乗組員の一人にも出会わず、戦闘もしないのに、である、皆、口には出さないものの今の状況に恐怖を
覚えているのは確かだった。

<魔女め!遊びおって! 今度、出逢ったら有無を言わさず一撃を呉れてやろうぞ!>ドガーラは怒りに震えながら
そう誓った。

「エレベーターが有ります!」先行していた斥候から報告があった。

<エレベーターだと? ここは宇宙船の内だ、慣性制御で重力を発生させていたとしても”上下動”する場所は必ず慣性・
制御が切ってあるはず・・・。”エレベーター”なぞ要る訳が無い、これは罠だ!>即座に適確な判断をしたドガーラで
あったが、今来た道を戻っても”ダウ・ズォーダ”に戻れる保証は無かった。

「よし、まず、儂が一人でこの”エレベーター”に乗る。 安全が確認出来た所でサヴァ・ビア、貴様は部下を引き連れて
後を追って来い!」ドガーラは覚悟を決めてそう言った。

「”霹靂”の戦士よ! 貴方様は我が主、キラ・ゴルエン様の客分であらせられまする。  ここで貴方様を見捨てたと
あっては我等、百人隊の面目が立ちませぬ!」サヴァ・ビアと呼ばれた隊長格の男が異議を唱え、同行を強く願った。

「ウム、合い判った、このドガーラ、諸君の忠誠しかと受け止めた、皆の者、”魔女”めに一泡吹かせようぞ!」ドガーラは
兵士を連れてエレベーターに乗り込んだ。

彼等が乗り込むとエレベーターの扉は勝手に閉まり、動き始めたがその方向は彼等の予想を裏切り下方だった。

慣性制御が切られて居れば、彼等は全員、エレベーターの天井に叩き付けられていたはずだが、実際には軽いーGを
感じただけで彼等は高速でエレベーター・シャフトを下って行った。

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「何故で御座りまする! ここで”移動・檻”(艦橋・エレベーター)内の慣性制御を逆転させれば彼奴等は天井に叩き
付けられて人事不省、一網打尽に御座りまする!」ボ・ルドウはドガーラ達と対面すると言う”姫”に抗議した。

「ちょっと”話”をするだけよ、きっと向こうも言いたい事が沢山あるわ。それに私も”鎧姿”を”身内”以外にも見せびらかし
たいし・・・、おっと来るわよ。」エレベーターの到着表示が点灯したのを確認した”姫”が言った。

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エレベーターが止まるとドガーラ達は銃を構え、まだ開かぬエレベーターの扉を見つめた。

きっと扉の前には銃を構えた多数の兵士か、軍用ドローン(ロボット・兵)の群れが待ち構えている事だろう・・・。

それを覚悟でこのエレベーターに乗ったのだ、<何が待ち受けていようと必ず排除してくれる!>ドガーラの決心は
固かった、だが、扉が開いて見るとそこに広がる光景はドガーラ達の度胆を抜いた。

そこには一人の”半裸”の女性が背中を見せて立っていた。
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他にはボ・ルドウ侍従長が、こちらは膝をついていたがドガーラ達と正対していたその他、数名の兵士が居たが皆、ボ・ルドウと同じく床に膝をついて即座に戦闘する意志の無い事を示していた。

しかし、本当に彼等を驚かせたのは待ち受けていた一行が天井に立ち、頭を下にしていた事だった。

「貴様達は何者だ! どうしてこんな”妖し”の様な真似をする!」まさか、目の前に居るのが目的の”レティファン姫”とは
思わないドガーラは口を尖らせて抗議した。

「失礼ね。私よ。 貴方達の目的のセジャード族の”姫”よ。」姫はゆっくりと顔だけ振り向いた。

「おおっ、”レティファン姫”で御座ったか! 何故、その様な”勇ましい御姿”を?」ドガーラは”王族”に対する
”戦士の礼”を忘れる事は無かった。

「決まってるじゃない! 貴方達、”戦士”を迎えるに相応しい”甲冑(よろい)”姿”になっただけよ。

しかし、やっぱりこれでは”話”がし難いわね。 

そのエレベーターの”慣性・制御”を一度、切るから頭と足を入れ替えなさい。」”姫”の発言にボ・ルドウは顔をしかめた。

<今なら不意打ちで慣性制御を上下入れかれれば奴らは全滅だ・・・。”姫”は何を考えて居られる。>ボ・ルドウは慣性・制御を行っている操作員に目くばせした。

操作員がそれに応えて操作レバーを真下まで引き下げようとしたその時である、”姫”は右手に握っていた”輝く輪”を
操作員目がけて振ると”姫”の握っていた部分の後ろで”輪”は千切れ、一本の鞭となって彼の右手に絡まって操作を
不能にした。

「わらわはドガーラ殿と話がしたいと申したはずじゃ、余計な手出しは致すまいぞ!」”姫”は味方に手出し無用を
申し渡した。

「さて、ドガーラ殿、以前、わらわが尋ねたお主の”真の名”教えてはもらえぬかのう。」”姫”は自分の前に膝まづく追手の先兵に再び尋ねた。

<我等が完全に”姫”の掌中に居る事は最早明らかだ。 今までも”姫”は何時でも我等の生命を奪う事が出来た。

それをしなかったのは儂の”真の名”を知たい、その一点に尽きるのか? だったら余計教える訳には行かない。

しかも、敵味方、下級兵士までいるこの状況で応えられる訳が無い!>ドガーラはキッと顔を上げると”姫”に応えた。

「”姫”様は”無理難題”を仰って御座る。 それに人に名を問うなら、まず、”御自分の真の名”を告げられよ。

それが”礼儀”と申す物で御座る!」ドガーラは受け入れられるはずも無い”正論”で返した。
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「おおそれは失礼! 申し訳無い事をした。 わらわ、レティファン・クエシャザードの ”真の名”は ”テレサ(愛・満つる者)、
字名はテレザート(統治者)、テレサ・テレザート(愛もて統べる者)”じゃ。 覚えておくが良い。」と”テレサ”は
何の躊躇いも無く己の”真の名”を敵味方、下級上級兵士の区別無く明らかにしてしまった。

「”姫”さま! ”真の名”を”交換”ならともかく、一方的に明かすなど以ての外、しかも相手は ”敵” ですぞ! 何を考えて
居られます!」ボ・ルドウは余りの事に狼狽え切っていた。

「爺、何を狼狽えておる、これでドガーラ殿が”真の名”を明かしてくれれば”交換の儀”が成立する、
そして”名を交わした者”同士は最早”敵”では無い。 どうじゃ、ドガーラ、教えてはくれぬか・・・?」”テレサ”は
再度ドガーラに”真の名”を渡す様に促した。

「”テレサ・テレザート”様、判り申した。 儂の ”真の名” をお渡し致しまする。 但し部下達の ”名” は御勘弁戴きたい。」ドガーラは自分でも何がどうなったのか、図り切れぬまま ”真の名の交換の儀”を受け入れてしまった。

<セジャード族は古くからの王家の血筋、そして”空間跳躍”の技に優れると聞いた、多分、艦隊戦闘の場だけで無く、
我等がこの艦に侵入した時から今まで戦闘もしないのにこの艦橋になかなか辿り着け無かったのもやはり”空間跳躍”の
技に違いあるまい。 粋がって”白兵戦”など、仕掛けても”船外”に放り出されて一巻の終わりだ!>ドガーラは本当に
ダガームと違って賢かった。

”ガウ・ルーガル”は他のどの勢力の宇宙船と比べても、一見同じ様な通路や区画割りを持っていた。

しかし、実際は他のどの宇宙船とも異なる部分を持っていた。 それは通路は常に隔壁閉鎖された状態で
人は”超短距離・跳躍”で”隔壁”を通り抜ける様になっていた事だ。

それを知らない外部の者は隔壁を開いて普通に通過してしまうため、艦橋での操作で隔壁の所で”超短距離・跳躍”する先を別の隔壁・区画を指定され、全く別の区画・通路に誘導されて迷う羽目に陥るのだ。

侵入者達を無警告で宇宙空間に放り出す事も出来たが、”テレサ”達、セジャード族は慈悲深いのでそんな事は
しなかった。

**************************************************

「”テレサ・テレザート”様、儂の”真の名”をお渡しする前に一つお願いが御座いまする。」ドガーラは今はムガンダ族の
族長、”キラ・ゴルエン”の客分であったが、元々はかつて大帝に滅ぼされたバル・バル族の族長の近親者であった。

「バル・バル族は武門の誉れ高き一族で御座る。 このまま何もしないで”テレサ”様の軍門に下る事など一族の誇りが
許しません。 どうか、そちらの代表者と”真の名”を賭けた決闘をさせて頂きたい!」戦士階級であるドガーラにとって
闘いもせず敵の軍門に下るなぞ有り得ないと考えるのも無理は無かった。

「おう、そちの申し出、しかと受け止めた。 わらわも自分が”真の名”に相応しい存在か、確かめたいと思っていた
ところじゃ、臆せぬのなら懸かってまいれ!」”テレサ”も自分の”真の名”を賭けてこの”一騎打ち”に臨んだ。

普段ならこうした”姫”の行き過ぎを諌めて来た”ボ・ルドウ”侍従長であったが、この戦いだけは口出しする訳には
行かなかった。

<これは”真の名”を賭けた戦いだ、”姫”の”真の名”は”テレサ(愛・満る者)、だから今までの闘いで死人が出ない様、細心の注意を払って闘って来られた。 しかし、それでは戦士階級の方は敗北したと言う実感が得られない。

だから、最後に手合せをし、相手に虚・実共に敗北したと悟らせるおつもりなのだ。>”ボ・ルドウは”姫”の成長が
嬉しかった。

ガトランティス艦の艦橋は広い、特に中央は宴会なども行う機会があるため大きく空けてある、そこで二人の戦士は
お互い戦士の礼を交わすと一歩、跳び退って間合いを取った。

                                         184. ”大義”の”甲冑(よろい)” ー(2) → この項・続く

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# by YAMATOSS992 | 2015-03-28 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(2)
 「ヤマト発進! 目標、”ガウ・ルーガル”が展開している”転移フィールド内”、前進・強速!」真田副長が命令した。

「前進・強速、目標、”転移フィールド内”、ヤマト発進します!」島航海長が力強く復唱した。

「レーダーに”感”! ガトランティス・駆逐艦、巡洋艦多数、”転移(ワープ・アウト)”、攻撃隊形で接近します。」
岬・百合亜・探査士が上づった声で報告した。
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「南部砲雷長! ”炎の洞作戦”始動! 遠慮するな、こっちは弾数を出来るだけ減らしたいんだ。」普段の真田副長なら絶対に出さないであろう”魚雷・ミサイル大盤振る舞いの命令だった。

しかし、南部・砲雷長もプロ、無駄弾を撃つつもりはさらさら無かった。

「艦首魚雷発射管六門一斉射、時限信管を発射後二十秒にセット!続いて両舷 短SAM、短魚雷も連射、目標は
艦首魚雷・炸裂点、下部VLSも指示は同じだ。」南部・砲雷長はヤマトに残った炸裂系の武器を全て使い切ってヤマトの
周りに”弾幕”を張り続け、”ガウ・ルーガルが張る”転移フィールド”内にヤマトが飛び込むまで敵の攻撃を全て吸収する
つもりだった。

「三式融合弾を第一、第二主砲塔群、第一副砲塔に装填しろ! 強襲してくる敵・駆逐艦はこれで排除する!」
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本来、ヤマトの主・副砲は”陽電子衝撃砲(ショック・カノン)”だ、そしてこちらの方が三式融合弾より射程は長いし、
圧倒的に速い、だが、破壊力となると三式融合弾の方が格段に大きい、だから今回の様な弾幕を形成するのには
光速兵器より大質量兵器の方が向いているのだ。

”火竜”と化して加速するヤマトにドガーラ艦隊から差し向けられて来た駆逐艦、巡洋艦は輪動砲からビームを
浴びせかけたが、ヤマトが纏っている”爆炎”で屈折させられ命中する事は無かった。
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また勇気ある艦長が指揮する駆逐艦が何隻か接近して”量子魚雷”による攻撃を試みたが、やはりヤマトの装甲に
辿り着く前に爆炎に吸収されてしまった。

**************************************************
 
 ”ガウ・ルーガル”の艦橋はヤマトが見せる壮烈な眺めに皆、息を呑んで見入っていた。

<なんと、見事な、そして潔い戦い方だ・・・。>ボ・ルドウは長命で名だたるガトランティス人だったが、それでもここまで
激しい戦い方をする者に出会ったのは始めてだった。

「爺、中継艦の配備は出来ている? 航路の安全の確認だけだから、中継艦同士の間隔は思い切り離して頂戴!」
”姫”がボ・ルドウに命じているのはヤマトの”空間跳躍”終了場所に危険がないかどうか、確認する作業だった。

ヤマトが無事、”空間跳躍”出来ても終了点に小石の一つでもあれば、”物質重複”を起こして大爆発、ヤマトは無数の”光子”に変換されてしまう。

それを避けるため、”姫”はヤマトの”空間跳躍”終了予定宙域に父・王に無理を言って借り出した宙雷戦隊一ヶの内から
旗艦の巡洋艦を一隻貼り付けて安全の確認と確保を命じていた。
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配下の駆逐艦四隻は情報中継艦として”ガウ・ルーガル”までの間にほぼ等間隔で並び、情報の伝達を確実なものに
していた。

「準備が整いました。”姫”、”空間跳躍”、何時でも可能です!」
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”姫”の見据えるスクリーンにいきなりヤマトの巨体が割り込んで来た、ヤマトは”ガウ・ルーガル”を右後ろ斜めから
かすめる様に接近し”ガウ・ルーガル”前方に形成されている”転移(ワープ)・フィールド”に飛び込むのだ。

ヤマトの艦首が”火炎直撃砲”の射撃・指揮装置に依って検知される、その時、”姫”は”火炎直撃砲・発射レバー”を
横に倒しつつ、思い切り引いた。
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すると”火炎直撃砲”の砲口に形成されていたエネルギー球はいきなり消失し、ヤマトだけが”空間跳躍”して遥か宇宙の
彼方に消えていった。

その時である、”ガウ・ルーガル”の艦橋は大きな衝撃に揺れた。

「何事ぞ!」”姫”は凛としていたが落ち着いた声で状況報告を求めた。

「敵艦に接舷されました。上下左右から完全に押さえ込まれています! あっ後ろも取られました。」甲板士官の悲痛な
叫びが事態の深刻さを現していた。

なんと”霹靂”のガルダ・ドガーラは配下の駆逐艦、巡洋艦に”ヤマッテ”を攻撃させて”ガウ・ルーガル”の気をそらし、
その間に主力の”殲滅戦艦”五隻を”ガウ・ルーガル”に接近させて押さえ込み、白兵戦を挑むつもりなのだ。

「面白い! 誰か、”具足”を持ていっ!」”姫”は侵入者達を正面から迎え撃つつもりらしかった。

**************************************************

<クソッ、舵が流される! ドメル艦隊のパイロット達はこんな”衝撃”に耐えてヤマトに攻撃を仕掛けて来たのか!>
島航海長は敵だったとはいえ、ガミラス・パイロット達の錬度に感心した。

「ガトランティス艦から通信が入っています。」市川・純 通信士が報告した。

「よし、繋げ!」真田副長が通信接続を命じた。

「無事に”大空間跳躍”に成功した様じゃな、何はともあれ無事で何よりじゃ。島・大介。」”姫”は現ヤマト最高責任者の
真田・副長を差し置いて島・航海長に直接、声を掛けた。

島・航海長は困った顔で真田・副長の方を見ると真田・副長は苦笑いしながら、島・航海長に無言で応答を促した。

「”姫”、有難う御座いました。 これでヤマトは”地球・救済”の旅を続けられます。

しかも、一万光年もの大距離を跳ばして頂いて、今までのタイム・ロスを大きく取り戻す事が出来ました。」島・航海長は
喜びの声で応えた。

「しかし、その・・・。 その御姿は・・・。」島・航海長は”姫”の姿を見て戸惑った。

”姫”は地球流に言えば”ビキニ・アーマー”を身に着けていたのだ。
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身体の最小限度の面積を覆う”ビキニ・アーマー”は非力な”姫”に俊敏な”機動力”を与えてくれるのだが・・・
島・航海長は目のやり場に困った。

「これか! これは”鎧”だ、これから”追手”の送り込んで来た兵士と”白兵戦”をするのじゃ。わらわの『使命の神託』、
成るか、成らぬか、その第一歩じゃ。 

健闘を祈っていてくれ、島・大介、そして宇宙戦艦ヤマト、そなた等はマゼラン雲(グタバ方面宙域)でもはや”伝説”に
なっておるぞ。 

おっ、敵兵が侵入して来た様だ、それではまた、何時の日か、まみえようぞ!」”姫”は一方的に話すと一方的に通信を
絶ってしまった。

「駄目だ! 君は”殺し合い”をする人では無い! 君の”使命”は”ガトランティスの矯正”だろ!だったら戦っては
ダメだ!」血を吐く様に島・航海長は叫んだ。

「テレサ~ッ」島・航海長は思わず、絶対秘密にすべき”レティファン姫” の ”真の名” を呼んでしまった。

そう、”レティファン姫” の ”真の名” は ” テレサ・テレザート”。

ガトランティス語で”テレサ”は「愛・満る者」、”テレザート”は「統治者」を示していた。

すなわち、”テレサ・テレザート”で「愛もて統べる者」の意味となる。

”これからガトランティスの運命を大きく変えて行く者”の名前だった。

ヤマトの航路の安全を確保してくれたガトランティス巡洋艦の艦橋では艦長が地球式の”敬礼”をしつつ、銀河系に
向かって帰還して行くヤマトを見つめつつ言った。
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「テレサ(愛・満る者)・・・か。あいつらしく無い名前だな。」そう呟いたのは”レティファン姫”の 父・王、
グエゼ・クエシャザード その人・・・。

彼は”娘”の”真の名”をまさか”テロンのヤマッテ”から聞こうとは思ってもみなかった。

複雑な想いを抱きつつ、彼は万感の想いを込めてこう告げた。

「さらば、宇宙戦艦ヤマト!」 


                                       182. やってきたのはお姫(ひい)様ー(10)→ この項・了

                                       183. ”大義”の”甲冑(よろい)” ー(1) → この項・続く

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# by YAMATOSS992 | 2015-03-21 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(2)
 <読まれている・・・。これでは”駆逐艦”による”一撃離脱攻撃(ヒット・エンド・ラン)”を行っても徒に損害を増す
ばかりだ・・・。>ドガーラはまず空母艦隊から攻撃機”デスバテーター”を数十機発進させ、ヤマトと”ガウ・ルーガル”に
奇襲を掛けさせてみた。

それも”短距離・空間跳躍”を用いた瞬・撃である、普通であればとても対抗する事の出来ない必殺・戦術であった。
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だが”空間跳躍・技術”に長けたシャザード族の”ガウ・ルーガル”ならまだこの防衛力は理解出来なくも無いがヤマトも
自艦の防衛兵器だけで無く、航空隊をも的確に”デスバテーター”出現予想点へ誘導、迎撃させたのには心底驚いた。

「”殲滅戦艦”艦長は本艦”ダウ・ズォーダ”に集合せよ。 今後の戦術を検討する!」”霹靂”のガルダ・ドガーラは従弟の
ゴラン・ダガームとは違い、配下の意見を重視し、一人勝手に作戦を推し進める事を良しとしなかった。

**************************************************

 <不気味だ。 攻撃機の次はてっきり駆逐艦隊による連続攻撃がある物と思ったが、敵は何を警戒している・・・。>
真田副長は沈黙している敵の意図を図りかねた。

「佐渡先生、沖田艦長は話が出来る位まで回復しましたか?」真田副長は自分の手に余る事態に沖田の助けが
欲しかったのだ。
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しかし、佐渡の返事は”危険は脱したが、面会謝絶”だった。

”ガウ・ルーガル”から通信が入った、しかし、艦橋の大スクリーンに出たのは”姫”だった。

<どうしたことだ?”ガウ・ルーガル”の艦長は”ボ・ルドウ氏のはず、”姫”は”御座”しているだけで指揮権は
無いはずだが・・・?>真田副長は事態が動き始めたのを感じた。

「どうした、島航海長、いや、太陽系・地球・国連宇宙軍所属宇宙戦艦ヤマト型戦艦BBY-01、宇宙戦艦ヤマト航海長、
一等宙尉、島・大介、水臭いぞ!折角、”真の名”を交換致したと言うのに、貴様達が”難儀”しておるのは一目瞭然じゃ!」 ”姫”が島を名指しで非難した。

「フフン、長い”名”なら覚え切れぬと思ったか? 我らはそれが本当に”真の名”なら如何に長くても覚えられるのだ。

彼奴らは軍議をしておる様だが、次に何を仕掛けてくるか判らん、今の内に”空間跳躍してこの場を去れ、そしてそれが
出来ぬのなら理由を申せ!」 ”姫”の形相は険しかった。

「副長! 意見具申!」操舵席から立ち上がって島航海長は真田副長に向かって敬礼した。

「”ガウ・ルーガル”のビーム転送システムを使ってヤマトを出来るだけ遠くに物質転送して貰ったらこの危機を脱出
出来ると考えます!」副長が”意見具申”を促したので島航海長は自分の考えを言った。

「何を馬鹿な事を言ってるの! ビーム転送砲の射程距離位”跳んで”も追手は撒けないわ!」新見情報長が
島航海長の意見に反対した。

しかし、真田は新見情報長を制すると”姫”に呼びかけた。

「そちらの”ビーム転送砲”は最大どれ位のエネルギーを”転送”出来ますか?
これはもちろんそちらにとって重大な”軍事機密”でしょうが、あなたはここにいる男に”真の名”を預けた、これは如何なる
軍事機密に勝る”秘儀”のはず、教えて頂けると信じております。」
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少し困った顔をした”姫”は横を向いた、ヤマト側からは見えなかったがそこにはボ・ルドウが膝まづいていた。

彼は”姫”と目が合うと小さく微笑し、”姫”も大きく素早く何度も頷くとスクリーン上の真田副長に向き直った。

「教えましょう。 ただ、そちらのエネルギー単位が判らないのでガトランティス艦の大きさで示します。」”姫”の答え方の
適格さには真田副長だけで無く、島航海長もその巧な返答に感心した。

真田副長は”転送”出来る最大エネルギー量を聞いた、それに対して”姫”は”転送・可能”な船の大きさで答えると
言うのだ。

これは彼女達、ガトランティスがアインシュタインの特殊相対性理論(E=mc²、”エネルギーと質量は等価と言う事”)を
理解している事を示していた。

<最初の出会いが”最悪”だったから”ガトランティス”はガミラスの言う様に”蛮族”だと思っていたが、”姫”の部族は
”知的”なんだな。 例外なのだろうか・・・。 今、襲撃を掛けて来ている彼等も話せば解るのでは・・・。>島航海長は
つい、儚い望みを抱いてしまった。
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「ありえぬな、ダガームは確かに”乱暴な野蛮人”として嫌われておったが、ガトランティスの”戦士・階級”は総じて
”好戦的”だ。 余程の事が無ければ”和睦”など受け入れぬ。」それを聞いた”姫”は即座に”和睦の可能性”を否定し、
島航海長の考えが”甘い”事を暗に指した。

「いやそれは違う! ”姫様”だって最初は我々を”脅して”協力させ様としました。

でも”ボ・ルドウ艦長”が”星の海を往く者の絆と理”を説くと自らの”非”を認め、”謝罪”されました。

だからこそ我々も貴艦の機関・修理を御手伝いする気になったのです。

彼等だって”話せば解る”はずです。 彼等も ”星の海を往く者” に違いは無いのですから・・・。」島航海長は熱く語った。

「そんな事もあったな。 まぁ、追跡艦隊の事、穏便に済ます様、考えておく。

しかし、今は”ヤマッテ”を”転送”する手立てを考えるのが先決だ。

どうだ、”ヤマッテ”とこちらから提示した”転送出来る最大の艦”のデータ比較のは済んだか?」”姫”は島航海長の指摘に気まり悪そうに話題を変えた。

「どうなんです? 副長・・・」島航海長は真田副長を問いただしたが、艦橋に居た皆も同じ気持ちだった。

「残念だが、ヤマトの全質量の方がデータ艦より僅かだが重いんだ。 困った・・・。」真田副長は考え込んでしまった。

『真田副長! 我々を置いて行って下さい。 航空隊全機を捨てればかなりの”重量軽減”になります!』加藤隊長が
とんでもない提案をした。
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<冗談じゃない!我々は”地球”を甦らせ、そこで生きる為に戦って来たんだ!”特攻紛いの切り捨て”は絶対に許される
べきでは無い!>島航海長は自分の”意見具申”の結果、犠牲者が出るのは許せなかった。

しかし副長は顎を右手で撫でながら不敵に笑った。

「その案、活けるかもしれないな・・・。 榎本掌班長! 百式を一機だけ残して航空機本体、支援機材を全部投棄しろ!」

「真田さん!気でも狂ったんですか!」島航海長は真田副長の非道さが許せなかった。

『良いんです! ”地球”が待っています。航空隊を切り捨てても”ヤマト”は前に進まなくてはなりません!』山本・玲も
残留を希望した。

「駄目だ! 君等を見捨てて”地球”が救われると本当に思っているのか! 副長、航空隊の帰還を命令して下さい!」
島航海長は航空隊の隊員を切り捨てるのは絶対に反対だった。

『航空隊の俺達が乗るべき機体を失ったら、ヤマトの中で何をすれば良いんです! やらされる任務が掃除や
雑用ばかりじゃ堪りません!」沢村・翔航空隊員も残留を希望した。

「馬鹿もん! 機体だけ捨てて泳いで帰って来い! 脱出する時、今までの戦闘を記録してあるデータ・メモリー・
スティックを持ち帰るのを忘れるな! それがお前達の今の任務だ!」沖田艦長だった。

彼は病床にあっても”威厳”があった。

「艦長! もう宜しいのですか?」皆が希望を持って艦長に呼びかけた。

「・・・」しかし、沖田の返事は無く、代わりに佐渡・医師の怒号が皆のインカムに響いた。

「馬鹿もの! 折角、回復が順調だったのに今の”一喝”で艦長はまた昏倒されてしまった。

艦長を殺したくなかったらさっさと命令を聞いてデータ・スティックだけを持ち帰れ!」

『イ、イエッサー!』航空隊の面々は射出座席を作動させて愛機を離れると座席下にあるデータ・スチックを抜き取って腰にあるホルダーに収めるとヤマトめがけて宇宙遊泳をした。

このデータ・スティックに収められたデータは個々の機体だけのものでは無い、同じ型の機体であれば別人の機体のデータもリンクされて記憶されていた。

「明生兄さん、一緒に帰りましょう。」山本・玲はデータ・スティックを胸に抱くと心の内で呟いた。

戦死した兄、山本・明生は玲の愛機、コスモ・ゼロの原型を地球で開発していた、だからその時のデータも全て内に
残っているのだ。

『山本! 早く! ここで遅れを取ったら俺達の愛機は無駄死にになるよん!」篠原・弘樹航空隊・副隊長が山本を
急かした。

艦長室の窓から航空隊の撤退作業が終わった事を確認した佐渡・医師はベッド上の沖田へ無言で”OKサイン”を
送った。

それを見た沖田は安堵する様に溜息を一つ、つき黙って微笑むと天を仰いだ。
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航空隊が”裸での帰艦”をしている間に副長と”姫”は次の段取りを打ち合わせていた。

<航空隊に”機体”を捨てさせたのならヤマト本体に積んだ”ミサイルや魚雷、三式融合弾”なども捨てるべきなのでは
無いのか・・・。>南部・康雄・砲雷長はあまり考えたく無い事を思った。

かつて、彼はヤマト発進直後の”メ2号作戦”時、”航空隊・不要論”をぶち上げ、周りの不況を買ったが、作戦が航空隊
指導で行われると少し考えを改める様になり、艦隊を組めないヤマトにとって航空隊の存在が如何に大きいか、旅を
続ける内に理解し、自分の言動を”恥ずかしい”と思う様になっていた。

「意見具申します!」南部・康雄・砲雷長は折り合いの悪かった父が作った”凶暴な兄弟”達に最後の花道を用意して
やろうとしていた。

                                      182. やってきたのはお姫(ひい)様ー(10)→ この項・続く

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# by YAMATOSS992 | 2015-03-14 21:00 | ヤマト2199 挿話 | Comments(4)