66, 「宇宙戦艦ヤマト2199」 世界における航空宇宙兵力の位置付けと意味(9)
思しき指揮艦艇群についても見てみたい。
5.メルトリア級航宙巡洋戦艦
二等航宙装甲艦では最大級の艦である。
この艦もデストリア級と同じく砲頓兵装を重視した艦だ。
しかし、デストリア級と異なり、内火艇や艦載機の運用能力がある。
(どれだけの機数を積めるのか、不明だが少なくとも空間格闘戦闘機DWG262「ツヴァルケ」を一機は積んで
いる。)
特徴としてはやはり、同じ330mm陽電子ビーム砲でも砲身のあるカノン砲を積んでいる事だ。
これにより、通常のデストリア級より強力な攻撃が可能となっている。
その役割はバラン星の前の中性子星カレル163宙域での「ヤマト」との戦闘や小マゼラン星雲周辺宙域での
対ガトランティス戦を見ると小艦隊の旗艦の役割を演じている場合が多い様だ。
ただ、「次元断層」に落ち込んでいた場合などを考えると、独航していたと思われ、単艦での運用もなされる
と判断される。
その様な単艦運用時の防衛のため戦闘機を積んでいるものと考えられるが、「ヤマト」ほどの多数の艦載機を
積んでいるのだろうか?
興味深いところではある。
6.ハイゼラード級一等航宙戦艦
この艦は情報・宣伝相ミーゼラ・セレステラの専用艦であるが、親衛隊長官ハイドム・ギムレーも専用艦
「キルメナイム」を持っており、このクラスは押しなべて政府高官の専用艦となっている場合が多い様だ。
武装はガイデロール級二等航宙戦艦に準じているが前面上部の主砲だけは三連装330mm陽電子ビーム
・カノン砲2基に換装されており、一等航宙戦艦らしさをかろうじて保っている。
政府高官の専用艦として使用されているのであるから武装よりも情報の収集・処理能力に長けている必要が
あると思われるが実際のところはどうであろうか?
私は「メルトリア」級も含め、「ハイゼラード」級も多数の空間魚雷の発射管を備えており、強力な攻撃力を保持
しているが、(空間魚雷発射管数:「メルトリア」級×6門(艦首のみ)、「ハイゼラード」級×23門)これは全て
攻撃用に使われるのではなく、探査能力を持った探査機を打ち出して情報収集を行っているのではと考えて
いる。
攻撃と探査を同じ空間魚雷発射管を利用して行えるのであれば、こんな効率の良い事はない。
探査能力を持った空間魚雷があれば、他の航宙駆逐艦や航宙高速巡洋艦、航宙重巡洋艦、航宙戦艦にも
使用出来、ガミラス航宙艦隊の情報収集・探知能力は非常に高いと考えられる。
政府高官が使用する事の多い「ハイゼラード」級が「ガイデロール」級二等航宙戦艦の船体をベースに開発
されているのは「ガイデロール」級の非常に多い空間魚雷の発射管数(計23門)を利用するためと考えると
非常に納得の行く物となる。(当然、搭載している空間魚雷は探査用が主で攻撃用は最低限度と考えられる。)
7.ゼルグード級一等超弩級航宙戦艦
他のゼルグード級もこの装備を持っているのかは不明である。
(「デウ・スーラ」が爆破され、デスラー総統(の影武者)が暗殺された時、脱出に使われなかった。)
ゼルグード級一等航宙戦艦は「ヤマト」の約2倍の全長を持つ超弩級戦艦である。
しかしその武装は大きさに比して少なめである。
主武装は四連装490mmの陽電子ビーム砲塔×7基であり、大口径ではあるが長砲身を持つカノン砲ではない。
副砲も三連装330mm陽電子ビーム砲塔×4基であり、それほどの大威力は求めていない。
空間魚雷の発射管は艦首×6基、艦尾×6基、艦橋×6基と変則的である。
艦橋に魚雷発射管があるのは艦橋を切り離して独立戦闘指揮艦として運用する際の武装・兼・探査機発射管と
して機能させるためと考えられる。 (ドメラーズⅢ世以外もやはり、分離・運用出来る?)
さて、通常の航宙戦艦の二倍の大きさを持つ、この艦の建造目的は何であろうか?
有人の艦載機を運用する訳でも、強力極まりない火力を持つ訳でもないこの艦の最大の特徴はその防御力に
あるのではないだろうか?
「ヤマト」のショック・カノンの直撃を前面装甲とは言え、跳ね返したガミラス艦はこのゼルグード級のみである。
現にその使用者は大ガミラス帝星総統アベルト・デスラー、中央軍総監ヘルム・ゼーリック、小マゼラン方面軍
防衛司令官(後に銀河方面作戦司令長官)エルク・ドメルと大ガミラス帝星のNo.1、No.2及び国民的英雄と
しっかり守らなければならない重要人物ばかりである。
但し、私はドメル将軍は本来ならもっと軽快で情報収集能力の高いハイゼラード級辺りが好みだったと推察
する。
国民的英雄として大ガミラスの強大な戦力の象徴としてこの艦への搭乗を総統やディッツ提督に
勧められて仕方なく「ドメラーズⅢ世」を乗艦にしていたのだろうと思っている。
67, 「宇宙戦艦ヤマト2199」 世界における航空宇宙兵力の位置付けと意味(10) → この項、続く