73, 「宇宙戦艦ヤマト2199」 世界における航空宇宙兵力の位置付けと意味(15)
内惑星戦争は二回戦われている。
第二次内惑星戦争と言う言葉がしきりに物語の中で語られるので、今まで一切、語られた事はないが、第一次
内惑星戦争があった事は推定出来る。(第一次内惑星戦争の経緯、その物については後記・推定する。)
後で詳細は述べるが、私はその戦争は2170年以前、2168年~2171年頃にあった物だろうと推察する。
それは「村雨」型巡洋艦の進宙が2170年だからである。
(画像は2199年時の最終状態)
前に私は記事「別項(2)」で『この「村雨」型宇宙巡洋艦が特徴のない、メ号作戦での地球艦隊の艦隊らしさを
演出するためだけに設定された凡庸な艦』と酷評したが、それは大きな間違いであった。
この艦は武装が非常に軽い事、しかし、それを補うかの様に射角の広い砲塔配置を持つ事に気が付いたからで
ある。
ここに、この艦の設計思想と運用方法が見て取れるのである。
まず非常に平凡に見える船体であるが、これは反対に量産性を考慮した設計である事を現す。
平時にここまで量産性を考慮した艦を設計するとは考え難いので戦時の設計艦である事が判る。
また、後述するこの第一次内惑星戦争の特性上、艦の数が必要であった。
だから武装は最低限にしつつ、砲塔はその効果を最大限に発揮出来る配置を研究、採用している。
また、武装が軽目で少ないのは量産性を考慮すると共に船体を軽くし、大航続距離を与えるためであったろう。
これも第一次内惑星戦争の特性上、必要な要求性能であった。
就航時は備砲として荷電粒子ビーム砲を備えていたが、翌年完成した「金剛」型戦艦が装備した新型の高圧
増幅光線砲の実績が非常に良かった(重量が軽く、威力が大)ので口径は36cm→20cmと、少し縮小したが、
備砲を換装した。
また、「金剛型戦艦」と「村雨型巡洋艦」は対ガミラス戦の為に2190年代後半に大改装を受けて艦首に陽電子・
衝撃砲を一門、固定装備したのは有名な話だが、では改装前は何を装備していたのであろうか?
艦首最先端なので探知用のセンサーとそのアンテナを装備していた可能性が高いと私は思う。(私的設定)
これは地球の軍用宇宙船なら20~21世紀の軍用機の特徴を引き継いでいたであろうと考えるからである。
(「村雨」型巡洋艦はこの状態で第二次内惑星戦争を戦った。)
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「村雨」型が戦時急増艦だったとすれば、正規巡洋艦は何であったのだろうか?
私は木星のエネルギー・プラント防衛を目的に造くられた日本最初の長距離巡航可能な宇宙巡洋艦があったと
考える、「高雄」型重巡である。
「高雄」型重巡洋艦「タカオ」 (同型艦「アタゴ」 「チョウカイ」 「マヤ」)
(初期型連装8in荷電粒子ビーム砲塔×5基、10門、VLS×24基 軸方向対艦ミサイル×8門 2160年就航)
第三砲塔が艦橋砲塔になっているのが特徴である。
これは構造が複雑にはなるが使用実績は良かったので「金剛」型宇宙戦艦の大改装時に採用された。
第一次改装後の重巡「タカオ」型 備砲は連装20cm高圧増幅光線砲塔×5基 10門に変わった。
第二次内惑星戦争時にはこの仕様で参戦しているが、図体が戦艦並みに大きく軽快な運動性に欠けたので
地球本土の防衛ラインの形成に用いられたため、火星軍の「遊星爆弾・発射・コントロール基地」を攻撃した
沖田艦隊には参加していない。
対ガミラス戦時にはあまりに旧式なので後方警戒任務に就いたが、その船体容量が大きい事を生かして、
「タカオ」と「アタゴ」が早期警戒艦に改装された。 ( 後記・「早期警戒艦の発達」 )
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第二次内惑星戦争に用いられたのは主に「金剛型戦艦」と「村雨型巡洋艦」、「陽炎型」艦隊型駆逐艦(私的
設定)であった。
「金剛」型宇宙戦艦は「メ号作戦」で唯一、生還した沖田提督の「キリシマ」が有名である。
この艦は第一次内惑星戦争が勃発してから木星にあったエネルギー・プラントの防衛戦力増強のため戦時
急増された艦であった。
しかし、戦艦は巡洋艦とは訳が違い、防御力などもそれなりに考慮しなければならず、就航出来たのは戦争が
終わった1971年末であった。
しかし、武装として軽量、高威力の高圧増幅光線砲を最初から装備するなど内容的には新技術が沢山盛込
まれ、各国の新鋭艦の雛形になった。
「金剛」型戦艦 (同型艦「コンゴウ」 「ハルナ」 「キリシマ」 「ヒエイ」)
火星独立運動強行派に拿捕された「ヒエイ」は火星軍に「レア・シルヴィア」と改名されて火星艦隊の旗艦と
なった。
(火星が軍神マーズになぞらえた名前を持つ惑星なので、旗艦は軍神マーズの恋人、「レア・シルヴィア」に
ちなんで、その名を付けられた。)
沖田提督が火星軍の「遊星爆弾・発射・コントロール基地」を攻撃した際、旗艦としたのは「コンゴウ」であった。
( 第一次火星沖会戦と後に呼ばれる「カ(一)号作戦」である。 )
建造後約10年が経過した「金剛」型ではあったが、1980年まで太陽系宇宙内は比較的平和であり、木星の
エネルギー・プラントと地球を結ぶ補給路を確保出来れば良かったのでその後、新型は「ヤマト」まで開発され
なかった。
第二次世界大戦頃でも軍艦の寿命は艦齢30年と言われており、現在の航空機でも10年~20年使うのは
当たり前である。
建造後、約10年を経た「金剛」型宇宙戦艦も充分、最新鋭艦と言って良いと思われる。
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第二次内惑星戦争にはこの他、「陽炎」型艦隊駆逐艦も用いられたがこの艦は設計が古く、第一次内惑星
戦争時ですら、旧式とまでは言わないまでも「型落ち」位古い艦なので、第一次内惑星戦争の所で述べる。
次回は第一次内惑星戦争とそれに使われた艦艇について考察する。
74, 「宇宙戦艦ヤマト2199」 世界における航空宇宙兵力の位置付けと意味(16) → この項、続く