人気ブログランキング |
ブログトップ

宇宙戦艦ヤマト前史

yamato2199.exblog.jp

宇宙戦艦ヤマト登場前の地球防衛軍の苦闘を描きます。

97. 使命の神託ー(16)

 「いいのォ、それに乗ったら 『同胞』 に向かって ”引き金” を引く事になるかもしれないのよ。」

ビーメラ星系のゲート・システム衛星で鹵獲した「ツヴァルケ」のコクピットに座ったメルダにここ、第三格納庫
まで案内してくれた山本 玲三等宙尉が聞いた。
e0266858_17183455.jpg

<これは同じ”ツヴァルケ”でも初期の型だ。私の愛機とは計器の配置が違う、後でテスト飛行をさせて貰
おう・・・。> 山本の質問を頭の隅で聞きながらメルダの心は新しい”愛機”の事で一杯だった。

「それはお前たちしだいだ・・・。」メルダは 『ヤマト』 が 『ガミラスを叩こう』 としなければ何も問題ないと正論を
言った。

しかし、「ヤマト」の敵、「ガミラス」と「ヤマト」の目的地、「イスカンダル」が二重惑星である以上、何がしかの
戦いはある、とメルダは覚悟していた。
e0266858_2034248.jpg

「ヤマト」が攻撃しなくても、あの「デスラー」は必ず、攻撃を「ヤマト」に仕掛けて来るだろう、それは避けられない
事だとメルダは思っていた。

<だとしたら、私はどうやって自分の「使命」を果たす? しかし、そもそも私の『使命』とは何んだ?> と
メルダは己に己の覚悟を問いかけた。

**********************************************
e0266858_20345573.jpg

「ヤマト」と「真ガミラス同盟・幹部」が収容所惑星「レプタポーダ」を出発する日の朝、メルダは父である「ディッツ
提督」に呼び出された。

ディッツは前収容所長、「ボーゼン」が使っていた部屋を収容所内外の情報が集約出来るので「情報収集室」
として部下達に使わせていた。

そこで自分の”個室”は独房の一つを少し小奇麗に改装して使っていたのだ。

狭い独房の内、親子は久振りの水入らずの対面を果たした。

<何故、今になって対面する? 今までだって何時でも会える機会はあったはずだ・・・。>メルダは緊張して
「父」のいや、「提督」の言葉を待った。
e0266858_10391719.jpg

「メルダ・ディッツ少尉、君に 『連絡将校』 の任を与える、『ヤマト』 に乗艦し、『イスカンダル』 までの旅を共に
する事を命ずる!」ディッツ提督は思いがけない事を言った。

「はっ、了解しました。 私、こと 『メルダ・ディッツ』 少尉は 『ヤマト』 に乗艦し、『イスカンダル』 までの旅の間、
『真ガミラス同盟の連絡将校』 としての任を果たします。」メルダは軍人だった、骨の髄まで軍人だった、命令に
質問は許されない、メルダは気を付けをして敬礼した。
e0266858_16595086.jpg

大きな疑問は心に残ったが、メルダは”命令”を復唱した。

「よし!」提督がメルダの行動に賛辞を示した。

しかし、メルダが退室しようと”回れ右”をすると改めて声を掛けた。

「『命令の文章』 は判ったようだが、『命令の意味』 も判ったのかな?」今度は『父』の顔だった。

「『連絡将校』 の任務とはどのように遂行するべきと考えている?」メルダは意地の悪い質問だと思った。

<そういえば、「ヤマト」は「イスカンダル」へ、「真ガミラス同盟」は「他・収容所惑星の解放」へと表面上は全く
違う道を歩む事になる。

お互い、協力しあえる事など何も無い、ガミラスに関するデータなら既に詳細な物が渡されている・・・。
e0266858_2047542.jpg

私が「ヤマト」に残っても「真ガミラス同盟」と連絡する手段は私には何もない、『連絡将校』 って、一体、何を
すれば良いんだ?>メルダは困惑し切った表情になった。

そんなメルダに後手に手を組んだディッツが肩越しに振り返りつつ、言った。

「『学習』じゃよ。 『テロン』 は 『ガミラス』 によって滅亡の淵に立たされてはいるが、その持っている 『文明や
文化』 は 『軍事』 に特化した 『ガミラス』 とは違い、非常に多様で高度だ。

これからの 『ガミラス』 は 『デスラー・政権』 の二の舞は踏んではならない。

それには 『軍事』 に偏らない 『文明』 になる必要がある。

今、 『テロン』 と わが 『ガミラス』 は交戦状態にある。

だから、いかに、我等が ”反政府組織” だと言っても簡単には 『テロン本星』 は受け入れては暮れまい。

しかし、『ヤマト』 なら、あの 『オキタ』 の指揮する 『ヤマト』 ならメルダ、お前を 『連絡将校』 として受け入れて
くれる。
e0266858_10344139.jpg

e0266858_1035665.jpg

前の会談はお互い「公的」なものだったから、 『物別れ』 に終わったが、今回の「連絡将校」の件は詳しい
真意をこちらにたずねる事もせず、簡単に「了承」してくれた。

だから、お前は後、『ヤマト』 の旅は幾らも残っていないが、学べるだけ、『テロン』 の事を学んでこい!」ディッツの顔は「提督」に戻っていた。

「はっ、了解しました。」メルダが敬礼して回れ右をして後を向くと彼女の右肩に手を掛け、ディッツはメルダの
耳元で囁いた。

「後、一つ、『密命』 がある、こちらが 『本命』 だ。」

メルダはディッツの言葉に顔をしかめた。

                                        98. 使命の神託ー(17) → この項、続く
by YAMATOSS992 | 2013-10-02 21:00 | ヤマト2199 挿話