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宇宙戦艦ヤマト前史

yamato2199.exblog.jp

宇宙戦艦ヤマト登場前の地球防衛軍の苦闘を描きます。

(補記) 2199世界における地球艦艇のあり様について

拙稿 『72, 「宇宙戦艦ヤマト2199」 世界における航空宇宙兵力の位置付けと意味(15)』に対し、

「大ガミラスの栄光」さんからコメントを頂きました。

それは私が金剛型戦艦は四隻あったが、二隻は対ガミラス戦で喪失した事が予想出来、1隻、「キリシマ」残存
しているのがはっきりしている。

しかし、もう一隻、「ヒエイ」の行方はどうなったのか判らない。

私はこの「ヒエイ」の存在が”第二次内惑星戦争”の引き金を引いたのでは・・・と妄想を逞しくいていましたが、

その間に宇宙戦艦ヤマト2199公式設定資料集[EARTH]が発売になり、それに基づいた御指摘を受けました。

それによると地球の日本艦隊の戦艦「金剛」型は

金剛型は計8隻が建造されたが、対ガミラス戦役の中、5隻が外惑星防衛戦、2隻がカ2号作戦で失われ、物語開始時点で残存しているのはキリシマのみとなっている[13]。
コンゴウ(BBS-551)
ハルナ(BBS-552)
ヨシノ(BBS-553)
ミョウコウ(BBS-554)
キリシマ(BBS-555)
ヒエイ(BBS-556)
チョウカイ(BBS-557)
フソウ(BBS-558)

[13]公式設定資料集P152、153

と言う御指摘でした。


それに対する私の回答・考察は以下の如くでした。

この記事を書いた時点では私もまだ公式設定資料集[EARTH]を入手しておらず、勝手な妄想を膨らませて
しまいました。

ただ、この設定には少し不満もあります。

軍事大国ではあるまいし、日本が何で平和時に八隻も有力な戦艦(地球的に見て)を保有していたので
しょうか?

しかも艦番号的に若い艦が比較的遅い時期まで生残り、艦番号が下った艦が外惑星防衛線
(当然、緒戦です。)で失われている・・・。

おかしいでしょう。

日本の宇宙戦艦造船速度はガミラスとの接触直後から外惑星防衛戦までの短期間に4~8隻も戦艦を
作れる程、早かったのでしょうか?

この様に公式設定と言えども突っ込みどころは満載です。

とレスしました。

それに対し「大ガミラスの栄光」さんは更に考察を加えられました。

八隻もあるのはやはり第二次内惑星戦争時の火星戦力が予想以上に強大だったり
(火星駐留艦隊を乗っ取ったとか)、紛争以後の反乱、テロリスト、海賊を警戒したりするためのもだったり…

総力戦争の場合、艦は若老の区別なくさっさと沈んでいきそうですけどねえ

それに地球側の先制攻撃の際にガ軍艦艇の強力さは地球のそれを大幅どころではないほど強力である事を
思い知ったので、先手必勝とばかりに(それとも焦りか、)比較的練度の高い艦隊を送ったのではないでしょうか

**********************************************

これ以降は「大ガミラスの栄光」さんの最期のコメントに対するレスになります。


 さて、まず平時なのにも係わらず、「金剛」型戦艦の多すぎる隻数の問題について考察してみましょう。

何故、私が『八隻は多すぎる!』と、この隻数に拘ったか、そこから話さなくてはなりません。

その前にこの記事を纏める為にNet上を彷徨っている時に、海上自衛隊のイージス艦の隻数が八隻なのに
気が付きました。(ちなみにこちらも「こんごう」型です。)

多分、この「金剛」型戦艦の設定を行った人はこのイージス艦の隻数を適用したものと思われます。

確かに、イージス艦は現海上自衛隊の艦艇で主力・・・と言って良い位置にあります。

しかし、過去にあった「金剛」型「巡洋戦艦」四隻の意味とイージス艦八隻の意味は全く違います。

「金剛」型巡洋戦艦は米海軍に対する抑止力として長年寄与して来ました。

対するにイージス艦はイージス・システムの一環として働く事を想定して建造されています。

勿論、個艦でも充分な対空能力を発揮できますが、多数の同型艦と連携する事により”神の楯(イージス)”と
して絶大な力を発揮しますが、抑止力としては見た目が所詮、「軽巡」か「駆逐艦」なので数を揃える事で
その「抑止力としての機能を補おう」としているのです。

しかし、2199の「金剛」型は見た目も立派な戦艦です。

周辺諸国に対する”抑止力”として建造するなら四隻位が妥当な量です。

もし、八隻も建造したら日本が「軍事大国」化して周辺諸国に害をなそうと画策していると取られてもしかたあり
ません。

また、経済的な面でも多数の戦艦を建造しすぎるのは問題です。

「金剛」型戦艦と「コスモ・ファルコン」、どちらが高価か、考えなくても判りますよね。

現在の航空自衛隊の主力戦闘機F-15イーグルの価格は約100億円、「コスモ・ファルコン」が同額で作れたと
して、「金剛」型戦艦がその十倍、約1000億円で作れるでしょうか?
(ちなみに「軽巡」か「駆逐艦」にしか見えない、イージス艦「こんごう」でも、その価格は約1200億円です。)

巡洋戦艦「金剛」は英・ビッカース社で建造されましたが、当事の価格で約2300万ポンドもする大きな買い物でした。

これをライセンス生産で国内で後、三隻造ったのですから、当事の日本は相当な無理をしていたのが判ります。


「金剛」型宇宙戦艦をガミラス戦が始まった後に残り二~四隻を建造したのなら話はまだ話は判ります。
(「懐の心配」より「命の心配」が重要なのは当然です。)

しかし、平時に、こんな戦争にしか、役に立たない高価な船を八隻も揃えることなど正気の沙汰とは思え
ません。

また、もし、残りの二~四隻を追加建造する場合、十年も前の古い設計で新造戦艦を作るでしょうか?

”「改・金剛」型”とも言うべき、全く別の船になったはずです?

『八隻もあるのはやはり第二次内惑星戦争時の火星戦力が予想以上に強大だったり
(火星駐留艦隊を乗っ取ったとか)、紛争以後の反乱、テロリスト、海賊を警戒したりするためのもの
だったり…』

と言う考察についても意見を言わせて頂きます。

『第二次内惑星戦争時の火星戦力が予想以上に強大だった。』については現在でも普通に行われている
情報戦について考えれば火星側が金剛型に匹敵する戦力、(質・量の面を合わせて)を持っているか、あるいは
持とうとしているのか、この程度の情報は簡単に掴めます。

『予想以上に強力だった』などと言う事が起これば情報担当責任者は完全に責任を問われるでしょう。

『火星駐留艦隊を乗っ取ったとか・・・』 一隻の船なら乗っ取る事も不可能ではありません。

しかし、まだ”国家未満の反乱分子”が艦隊を丸々一つ乗っ取る事など不可能です。

また、「駐留艦隊」と言うと「戦艦」を旗艦とし、「巡洋艦」、「駆逐艦」で構成された「艦隊」を想像しがちですが、

第二次内惑星戦争時、火星政府はまだ樹立されておらず、火星表面の大部分は地球の各国に制圧されて
いたと考えられます。

こうした”制圧戦”に必要なのは「艦隊」ではなく、”陸軍”や”海(宙)兵隊”です。

そしてそれらの地上兵力を運搬するのは「揚陸艦」です。

だから、火星独立強行派が奪取出来るのは余程特殊な理由が無い限り、「揚陸艦」が精々です。

ただ、これ等の「揚陸艦」であっても”対艦ミサイル”は多数積めるので全く軍艦として戦力外になるかと言うと
そうでもありません。

しかし、こうした”仮装巡洋艦”の相手は正規巡洋艦の役目であり、”戦艦”の出る幕ではありません。

現に「村雨」型はそうした理由?で量産されていました。

『紛争以後の反乱やテロリスト』に対し「戦艦」を差し向けるのは「”蚊柱”に対し”砲弾”を打ち込む」様な
無意味な行為です。

莫大な費用を掛けつつ、戦果は少しも上げられない「ヘタな作戦」の典型です。

「金剛型」戦艦八隻を保有する理由には成り得ないと私は考えます。

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次に『海(宙)賊』について考えてみましょう。

今まで多数のアニメで「宇宙海賊」が活躍する場面が幾つもありましたが、少しでも『海(宙)賊』の存在意義に
ついて掘り下げのあったのは私の知る限り、「モーレツ・宇宙海賊」だけです。

その他の作品の「宇宙海賊」達は宇宙に出没する「窃盗団」に過ぎませんでした。

現に”マラッカ海峡”にはそうした「窃盗団」である「海賊」が出没しているようですが、その鎮圧に空母や
護衛艦が出動したという話は聞いた事がありません。

この様な「窃盗団」に対しては巡視艇で充分なのです。

とても「戦艦」の出る幕はありません。 「コスト・パフォーマンス」を考えれば当然の事です。

また、『宇宙」という「特別な環境」を考えれば「海(宙)賊」が簡単に活動出来る環境でない事は直ぐに判り
ます。

呼吸する「空気」すら持って歩かねばならない環境なのですから・・・。 

そこで行われる「海(宙)賊」行為とは敵対勢力の輸送物資を輸送船毎、破壊して敵の手に渡らない様に
する事、「通商破壊戦」に他なりません。

ここまで来れば大規模な戦闘が予想されますので「戦艦」の出番もあるのですが、まぁ、大概の
「通商破壊戦」は軽巡洋艦の役目です。

自分より強い艦にであったら、優速を生かして退避し、じぶんより弱い艦や輸送船などはその餌食とする、
これが本来の海軍艦艇の戦い方です。

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『総力戦争の場合、艦は若老の区別なくさっさと沈んでいきそうですけどねえ

それに地球側の先制攻撃の際にガ軍艦艇の強力さは地球のそれを大幅どころではないほど強力である事を
思い知ったので、先手必勝とばかりに(それとも焦りか、)比較的練度の高い艦隊を送ったのではないでしょうか』

ヨシノ(BBS-553)      (「コンゴウ」型    外惑星防衛戦で喪失)
ミョウコウ(BBS-554)    (「コンゴウ」型    外惑星防衛戦で喪失)
ヒエイ(BBS-556)      (「改・コンゴウ」型 外惑星防衛戦で喪失)
チョウカイ(BBS-557)    (「改・コンゴウ」型 外惑星防衛戦で喪失)
フソウ(BBS-558)      (「改・コンゴウ」型 外惑星防衛戦で喪失)

コンゴウ(BBS-551)     (「コンゴウ」型 カ号作戦戦で喪失)
ハルナ(BBS-552)      (「コンゴウ」型 カ号作戦戦で喪失)

キリシマ(BBS-555)     (「改・コンゴウ」型 メ号作戦でも残存)

[13]公式設定資料集P152、153から類推

と言う戦歴があるようですが「外惑星防衛戦にキリシマはドック入りでもしていて参加しなかったのでしょうか?
ないしは八隻全部が作戦に参加、コンゴウ、ハルナ、キリシマだけが帰還出来たのでしょうか?

戦力の逐次投入は一番やってはいけない戦術です。 

当然、全力出撃が基本だったと思われます。

外惑星防衛戦で多数の艦を失ったとしてもそれは逐次投入という愚かな戦術ではなく、乾坤一滴の作戦だったはずです。

ガミラス戦開戦時には「金剛」型戦艦は四隻程度の保有量だったが、米・ソ、欧州、の艦隊が数度に渡り、
ガミラスと接触、防衛戦闘を行いながら情報を取る、その情報は次々と次に戦う艦隊にフィード・バックされて
「改・金剛」型四隻が建造された。(艦番555~558)

そしてその集大成として「金剛」型戦艦四隻と「改・金剛」型戦艦四隻による最期の「外惑星防衛戦」が行われた
が、残念ながら、ガミラスに対して決定的な打撃は与える事は出来ず、参加した八隻の内、帰還出来たのは
「金剛」型二隻「コンゴウ」「ハルナ」、「改・金剛型」一隻「キリシマ」だけだった。  

そして更に改装を重ねた「金剛」型と「改・金剛」型が投入された最期の艦隊戦?が「カ号作戦での辛勝」であった。

この後、ガミラスは攻撃を遊星爆弾攻撃に絞り、無駄な艦隊戦は仕掛けてこなかった。・・・と言われるが

地球人が「遊星爆弾」攻撃を黙って受けていたとはとても考えられず、少なくとも「遊星爆弾」攻撃の初期には
ガミラスも「遊星爆弾」を地球近傍まで護衛していたと思われ、地球の迎撃部隊とガミラスの護衛部隊の間の
小規模な戦闘は果てしなく繰り返されていたのではないかと思っています。
(地球人は攻撃目標を見つけたら無駄と判っていても攻撃せざるを得ない「好戦的」な生物です。)

また艦の乗組員の連度に触れられていましたが、これは一階には言えませんが、基本的には”古い艦”の
方が”新しい艦”の乗組員よりも錬度は高いはずです。(経験が長いのですから。)


私も重宝している「公式設定資料集[EARTH]ですがやはり完全な軍事専門家が書いているわけではないので
シロウトの私が見ても「おかしい!」と感じる所は多々あります。

決して”聖典”ではありませんからおかしいと思ったらその理由を考えて下さい。

そして、もし、作品を何か作っているのならそこに生かしてください。

宜しくお願い申し上げます。
by YAMATOSS992 | 2013-09-22 22:00 | 考察

by YAMATOSS992